個性の強い大型商業ビル、都内で開発競争 小区画賃貸から高級サービスまで多彩

 

 東京都心部でオフィス賃料の上昇が続く中、不動産大手が個性を際立たせたビル開発を競っている。大手町(千代田区)では4日、三菱地所の「グローバルビジネスハブ東京」がオープンした。大企業が集積する丸の内地区にあえてベンチャーを呼び込む。オフィス供給量の急増に伴って空室率上昇が予想される「2018年問題」を前に、各社が新機軸の試みでテナントの確保を目指す。

 グローバルビジネスハブは、大手町フィナンシャルシティグランキューブの3階を利用。約2700平方メートルのフロアを50区画に区切り、2~20人の小規模オフィスに対応する。充実した共用スペースに加え、セミナーを通じて丸の内の企業との接点も提供していく。

 入居済み42社のうち27社を占めるのは、ITや健康関連の海外ベンチャー。日本での事業が順調に成長すれば、オフィス拡大に伴う増床ニーズが期待できるというわけだ。三菱地所の杉山博孝社長は誘致の狙いについて「将来の優良テナントの発掘につなげたい」と語る。

 都心部ではこのほか、三井不動産が医薬品メーカーの多い日本橋エリア(中央区)で、同業ベンチャーの集積を図る「ライフサイエンスハブ」を展開。19年に建て替え開業するホテルオークラ東京(港区)は新日鉄興和不動産などと提携し、高級ホテルのサービスを強みとしたオフィス事業を始める。

 足元では都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス募集賃料が3.3平方メートル当たり1万8107円(5月、三鬼商事調べ)と29カ月連続で上昇している。

 こうした中、各社が個性を打ち出したビルを志向するのは、国が容積率を緩和した特区などで大規模開発が相次いでいるためだ。

 森ビルの予測では、東京23区のオフィス供給面積は18年から急増し、東京五輪・パラリンピックまでの3年間に124万~139万平方メートルと、近年の水準より20万~40万平方メートル増える。

 業界では「3年後には需給バランスが崩れ、リーマン・ショック時のような空室率上昇も起きかねない」(不動産大手)との危機感が強い。優良テナントを囲い込む競争は激しさを増すばかりだ。