東芝、初のカンパニー別説明会 信頼回復で投資家と対話強化

 

 不正会計で経営再建中の東芝は6日、都内で初めて投資家向けに事業(カンパニー)別説明会を開催した。6月に就任した綱川智社長は「情報開示の充実やカンパニーの自主自律経営の強化を目的に開催を決めた」と説明し、投資家との対話で、信頼回復を目指す姿勢を示した。

 説明会は原発などのエネルギー、半導体、昇降機などの社会インフラ、ITの4カンパニーのトップが今後の事業計画や戦略などを説明した。

 新規建設の先行きが不透明な原発事業については、2030年度までに45基以上とする従来の受注計画は変えなかった。

 原発子会社の米ウェスチングハウス(WH)が米国と中国で計8基を受注しているが、残りについて、エネルギーシステムソリューション社のダニー・ロデリック社長は、「中国や英国、インド、トルコなどで受注を期待している」と述べた。

 原発事業の業績目標は18年度に売上高1兆円超とし、営業利益670億円を見込む。

 一方、もう一つの柱となる半導体事業は価格下落や需要が鈍化している。同事業を手がけるストレージ&デバイスソリューション社の成毛康雄社長は「構造改革を終えて16年度は全事業を黒字化する」と語った。3次元の記憶用半導体の開発を加速し、コスト競争力を高める。18年度に売上高1兆6800億円、営業利益1300億円を目指す。

 また、東芝は18年度の全体の事業計画も修正した。売上高は従来予想が5兆5000億円だったが、パソコン事業が売却されなかったため、5兆7000億円に変更。営業利益や最終利益は修正しなかった。

 綱川社長は「記憶用半導体が東芝の成長ドライバーで社会インフラとエネルギーが記憶用半導体の業績リスクの変動を補う形になる」と述べた。ただ、アナリストからは各事業で円高など市場環境の変化への対応の質問も多く出されたが、明快な回答が少なかった。