昨今の中小ホール事情

遊技産業の視点 Weekly View

 □シークエンス取締役、LOGOSインテリジェンスフェロー・木村和史

 最近、中小ホールの売却、撤退の話が頻出すると同時に、近く閉店されるホールの設備・玉など残置物の撤去の話も多い。また、パチンコ店の跡地は、駅前など立地が良ければマンション用地として売却したり、ドラッグストアなどに賃貸するケースが一般的になってきており、再びパチンコ店が入居することは極端に減っている。さらに驚くのが業績が良いといわれる中小ホールでも、事前に撤退を考える企業が確認されつつある現状だ。

 確かに売り上げは逓減しているのだが、理由を聞くと後継者がいない、あるいは継がせたくないという。実際、これまでも「子供には積極的に継がせたくない」「会社が存続するならパチンコにこだわる必要はない」という経営者はいた。だが、今回はニュアンスが異なっている。「先行きが見えないビジネスを継がせるわけにはいかない」「いま、撤退しなければ負債を子供に負わせることになりかねない」と、その理由がネガティブにシフトしているのだ。いずれにせよ、先行き不透明なものには投資できないというのが撤退を考えるホールオーナーの主な意見だろう。

 個人的には、今後の遊技機の撤去回収がパチンコホールの市場からの撤去にリンクしかねないとさえ感じている。まさに真綿で首を絞められるような環境下で、とても無責任に何とか頑張ってほしいとは口が裂けても言えない。しかしながら、行政も多くの雇用を抱えるこの産業を、まさか潰すことまでは考えていまい。歴史を振り返っても、20年前の社会的不適合機の自主撤去を乗り越えてきた業界。店に足しげく通ってくれるファンに娯楽を提供するという使命を果たし続ける道は、どこかにあるはずだ。

 ホールオーナーは「今後どれだけ売り上げ・利益が変動しそうなのか」「月間の利益はいくらあれば耐えうるのか」など、諦める前に具体的なシミュレーションを試み、その上で、今後の動きを見極めるべきだと思われる。「これまでとは違う環境」を悲観したところで状況は何も変わらない。業界に残るにせよ、撤退を決めるにせよ、前向きに現状と向き合い、対処していかなければ、企業としての生き残りは見えてこない。

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【プロフィル】木村和史

 きむら・かずし 1970年生まれ。同志社大学経済学部卒。大手シンクタンク勤務時代に遊技業界の調査やコンサルティング、書籍編集に携わる。現在は独立し、雑誌「シークエンス」の取締役を務める傍ら、アジア情勢のリポート執筆などを手掛ける。