出光創業家「独自の道」主張 一切妥協せず 昭和シェルとの合併問題、協議長期化も
昭和シェル石油との合併計画をめぐる出光興産の創業家側と経営側の協議は、両者の主張に隔たりが大きいことが改めて浮き彫りとなった。経営側は「丁寧に説明を続ける」方針だが、協議を通じて創業家側の納得を得られるかは不透明だ。
「名誉会長は全くぶれのない発言だった」。協議後、報道陣に応じた創業家の代理人を務める浜田卓二郎弁護士は、同席した協議中の出光昭介名誉会長の態度についてこう述べ、経営側に対し、一切妥協しない姿勢を鮮明にしたことを明らかにした。
さらに、浜田氏は「独自でやることが出光のパワー、エネルギーを発揮する最善の道だ」と、改めて説明し、引き続き合併の取り下げを求めていく構えだ。
経営側は昨年7月、昭シェルと経営統合に向けて協議入りすることを発表し、同11月に合併を目指すことで基本合意した。少子高齢化やエコカーの普及で国内のガソリン需要が先細りする中、合理化で収益力を高めるのが狙いだった。
経営側は、公正取引委員会の審査結果を待ち、9月中にも昭シェル株33.3%を取得し、来年4月に合併する計画。計画に狂いが生じているが、「スケジュールに変わりはない。創業家とは誠実に協議する」(関大輔副社長)と粘り強く創業家への説得を続ける考え。経営側は今後、合併後の新会社に「出光」の名前を残すことなどを提案して歩み寄りたい構えだが、浜田氏は「条件闘争をするつもりはない」と強調する。
経営側と創業家は複数回の会合を重ねるとみられるが、協議は長期化するとの見方が強い。
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