三菱重工と千葉工大、防爆性備えた遠隔ロボ開発 企業×大学の連携加速

 

 三菱重工業と千葉工業大は12日、国内で初めて防爆性を備えた遠隔操縦ロボットを開発したと発表した。トンネル事故で引火性ガスが充満する中でも、爆発を起こさずに安全確認や人命救助ができる。こうした産学連携が画期的な製品やサービスを生み出すケースは多く、日本経済の成長の原動力として期待されている。

 「最強のコラボレーションで、これまでにないロボットを生み出せた」と自信を見せるのは、三菱重工のエネルギー・環境ドメイン原子力事業部の大西献主幹技師だ。

 共同開発したロボットは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、千葉工大が開発した福島第1原発で使用されているロボットをベースに、三菱重工の耐圧防爆技術を融合させた。

 長さが71センチ、幅42センチ、高さが54センチで、重さは60キロ。カメラや照明、ガス検知器を搭載し、がれきや階段も乗り越えられる。

 バッテリーにガスが引火しないように、窒素ガスを封入した特殊な容器を採用した。このロボットを活用すれば、トンネル事故があっても換気装置を投入せずに、人員や作業時間を大幅に削減できるという。

 一方、富士ゼロックスと慶大SFC研究所も同日、データをもとに立体の造形物をつくる「3Dプリンター」の新たな規格を共同開発すると発表した。今後、賛同企業を呼びかけ、国際標準を目指す。

 このほか、日立製作所が6月に東大、京大、北大と共同研究を行うラボを設置した。各大学に研究員を派遣し、産学連携を活発化させている。

 企業と大学の連携が加速しているのは政府の後押しも大きい。今年度から5年間の「第5次科学技術基本計画」で、ITなど複数の技術を組み合わせ、技術革新を起こすための研究「ソサエティー5.0」を提唱し、多額の予算を付けて産学連携を促している。

 日本が国際競争力を高めるには、科学技術の向上が欠かせず、産学連携で大きな成果を残すことが重要な課題となっている。

 ■企業と大学の最近の共同開発事例

 (企業・大学/内容)

 2016年3月

  京セラメディカル・佐賀大/銀HAコーティング人工関節に抗菌性能

  NTT・東京理科大/視界ゼロでも物体形状をとらえるテラヘルツ波照明器

  水ing・東大/大容量紫外線LED消毒装置

 4月

  トヨタ自動車・米クレムソン大/次世代コンセプトカー「uBox」

  サイバーダイン・慶大/ロボットスーツとiPS細胞で脊椎損傷治療法

 5月

  KYB・金沢工大/立ち座り支援装置

 6月

  オリンパス・東工大/カラー画像と近赤外線画像を同時に撮影可能なイメージングシステム

  マツダ・兵庫県立大/SPring-8活用による材料開発

  日本マイクロソフトなど・豊橋技科大/人工知能や機械学習機能による他言語翻訳技術

  TDK・東京医科歯科大/心臓の磁場の変化を初めて常温で測定し可視化