資生堂「“戦う集団”に進化させたい」
広報エキスパート□資生堂コーポレートコミュニケーション本部広報部長・上岡典彦氏
--資生堂は変革の真っただ中です
今年で創業144年を迎えました。2014年に就任した魚谷雅彦社長の下で、100年先も輝き続ける会社の原型をつくることを目指して、2020年にターゲットを定めた中長期戦略「VISION2020」を策定しました。柱は、マーケティングとイノベーションの強化、それを支えるための組織の構築と人材の育成です。「世界で勝てる日本初のグローバルビューティーカンパニー」を目指して、全世界約4万6000人の社員が「One Shiseido」の思いで取り組んでいます。魚谷は、就任直後から世界中の事業所を精力的に回り、社員との対話を深めました。魚谷の強力なリーダーシップとコミュニケーション力は改革を進める何よりの原動力です。
--広報歴20年ということですが、意識していることは
資生堂が世界で勝てる企業を目指す中で、広報部を戦う集団に進化させたいと思っています。戦う集団とは、勝つための戦略にこだわり、縦横無尽に動き、結果に真摯(しんし)に向き合うものです。そのためにはやはり、人材の育成が肝要です。毎月2回の部内会議を活用して、私の知識・経験の全てを部員と共有するとともに、広報の成り立ちについての講義を行っています。広報発展の歴史と意義を学ぶことで、より立体的な戦略構築が可能になります。
--PRプランナーの取得も積極的に進めています
2000人目の合格者も当社広報部員でした。部員には「知識は力」と繰り返し伝えています。日々の仕事で重視しているのは社会の視点で物事を捉えることです。広報部門は自社を主語に語りがちですが、社会を主語に考えることが必要です。自社の商品・サービスを社会の課題解決にどう役立てるか、というストーリー構築が鍵です。その基本は情報収集で、私自身、毎朝10紙を見ることから1日をスタートさせます。資生堂に関するニュースをメディアに取り上げていただくために、記者にいかに関心を持っていただくか。メディア研究に加え、発信内容の情報開発に注力しています。
--具体的には
例えば女性のトップが年々増えていることに着目。エグゼクティブにふさわしいヘアメークをテーマとしたリリースを発信したところ、ある全国紙では「働く私 輝くメーク」という見出しで5段にわたり紹介していただきました。またここ数年、「カープ女子」をはじめとしたプロスポーツの女性ファンが増えています。「スポーツ観戦ヘアメーク」というタイトルで、応援するチームのカラーを取り入れたメーク、視界を遮らないヘアスタイルを提案しました。社会動向を踏まえ、女性が求めている情報を発信していることにメディアが注目してくださっています。
--エリア広報も強化しています
「Think Global、Act Local」の考え方で取り組んでいます。日本中のお客さまに情報を届けるためには、全国メディアに加え、地域に根差した地元メディアへの情報発信が必要です。例えば、各地の出身社員が地元紙に掲載されると、現場のモチベーションアップにもつながります。社会と時代の視点を重視した独創的な広報活動にチャレンジし、「広報」の新たな可能性を切り開いていきたいと考えています。(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子)
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【プロフィル】上岡典彦
うえおか・のりひこ 1987年明大文卒、資生堂入社。高知、横浜支店を経て95年広報室。2009年企業文化部、第14代『花椿』編集長。13年広報部グループリーダー。15年から現職。07年PRSJ認定PRプランナー取得。16年6月からPRSJ副理事長。
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