生命保険協会 高齢者対応強化、マイナンバー活用を提言
インタビュー□生命保険協会会長・根岸秋男さん(57)
--生命保険協会の会長に就任した。抱負は
「高齢者対応に力を入れたい。独居、施設入居者の増加で、安否や所在の把握が困難になる懸念がある。保険金を請求したくてもできないケースや、家族が請求をし忘れることもある。能動的にできる態勢を今まで以上に整えたい。熊本地震の発生で改めて必要性を実感した」
--具体的な対応をどう考えている
「1月からマイナンバー制度の運用が始まったが、利用範囲の拡大を検討する指針が出ている。マイナンバーを活用すれば保険金、給付金を正確かつ迅速に支払うことが可能になる。当社が特にそうだったと反省しているが、保険金不払い問題で迷惑をかけた業界なので早期実現に向けて提言したい」
--日銀の金融政策で低金利が続く。主に日本国債で運用してきた生保業界は運用の多様化を求められている
「生命保険は、契約期間が30年など長期にわたるため、ただちに影響は受けないが、運用の多様化を含め、いかに知恵を出せるかが問われている。環境変化にどう適応するかが重要だ」
--英国の欧州連合(EU)離脱決定による影響は
「英国で免許を受けて保険事業をやっている国内生保はない。ただ、英国、EUの国際競争力が低下すれば世界の景気に下押し圧力になる。足元、金融市場がリスクオフ(回避)になっていることによる影響は受けている。今後も市場の動きを注視していきたい」
--日銀のマイナス金利政策が長引けば生保業界は運用面、商品面で一層苦しくなる
「副作用の方が強くなってきている。特にマイナス金利政策導入以降は金融調整機能が低下し、個人の消費マインドも低下している。政策効果は時間をかけてみたほうがいい。追加緩和の判断は慎重な対応を求めたい」
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【プロフィル】根岸秋男
ねぎし・あきお 早大理工卒、1981年明治生命保険(現明治安田生命保険)入社。保険の商品設計を行うアクチュアリー(保険数理人)出身で、企画部長、執行役営業企画部長、常務執行役などを経て2013年7月から社長。16年7月から生命保険協会会長。埼玉県出身。
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