熊谷組、安全な無人化施工 受注を強化 遠隔操作でコンクリート吹き付け

 
作業員は操作室でカメラの映像を確認しながら吹き付け機を操作して施工する

 熊谷組は無人化施工技術の受注体制を強化する。ICT(情報通信技術)を搭載した高機能型の移動式遠隔操作室を実用化したのに続き、吹き付けコンクリートを遠隔から施工できる技術を開発。2017年には同技術の無線化を確立する計画だ。被災地の復旧現場やトンネル工事では、安全性の確保や作業環境の改善が強く求められており、新技術を武器に受注活動を有利に進めていく。

 遠隔操作室はモニターなどの機材を室内に設置したまま、10トントラックなどで迅速に移動。無線LAN(構内情報通信網)によって建設機械を操作する。災害現場に導入する場合、従来であれば準備に5~10日を要していたが、最短1日で対応できる。すでに熊本地震で発生した大規模な土砂崩れによって崩落した、阿蘇大橋(熊本県南阿蘇村)周辺の復旧作業などで実用化されている。

 吹き付けコンクリートの遠隔操作技術は、無人化施工技術の要素を活用して実用化した。

 トンネルの坑道先端である「切羽部分」では従来、作業員が保護眼鏡や防塵(ぼうじん)マスクを着用しながら施工していた。今回の新技術では、3台のモニターカメラからの映像を切羽から離れた場所に送信。作業員は操作室でカメラの映像を確認しながら吹き付け機を操作して施工する。夏場も涼しい環境下で作業できるため、「作業員の負荷を大幅に減らすことができる」(手塚仁・土木事業本部トンネル技術部長)。

 また、山岳トンネル工事で発生する可能性がある落盤・土砂崩壊などの災害リスクを回避し、吹き付け作業中の作業員の曝露(ばくろ)粉塵もゼロにできる。

 吹き付け機と操作室はLANケーブルによって接続されており、長い距離でも対応できる。今後は無線化に向けた基礎・実機試験やコンクリート供給設備の遠隔操作を開発、来年度以降の実用化を目指す。

 また、トンネル施工技術の自動化や省力化を目的とした「次世代トンネル施工技術」の開発を進め、安全・衛生環境と生産性の向上を図る。