JX合併 出光の成否が左右 公取委審査 破談なら有利に

 

 石油元売り2位の出光興産の創業家が、5位の昭和シェル石油との合併に反対している問題は、合併の是非を判断する公正取引委員会の審査に影響を及ぼす可能性がある。破談になれば、並行する最大手のJXホールディングスと3位の東燃ゼネラル石油との合併審査が有利に進むとの見方が浮上している。企業数が多いほど競争が機能し、価格の高止まりを避けられるためだ。

 大手に位置付けられる石油元売りは現在5社。再編後はJXと東燃ゼネラル、出光と昭和シェル、コスモエネルギーホールディングスの3社体制になる。公取委は「競合する企業が4社より、3社に減る方が市場への弊害は大きい」と警戒しているとされる。

 しかも3社は売り上げ規模でみれば「2強1弱」(関係者)の構図で、2強にとっては値下げするより、値上げした方が利益につながるとの判断に向かいやすい。再編の一角が崩れれば、こうした懸念が払拭される。

 石油元売りの顧客は、大半が小規模な販売店で値上げ要請を断りにくい。2012年に新日鉄住金が誕生し、大型再編が実現した鉄鋼業界の場合、顧客が自動車など大口で購買力が強い。公取委は業界の事情も踏まえながら審査に臨んでいるとみられる。

 公取委は、出光と昭和シェルの合併について、1月15日からより詳細に市場競争に影響がないかを調べる第2次審査に入っており、企業側から報告を受けてから、90日以内に結論を出す。

 独占禁止法上の問題点があれば計画の変更を求める。創業家が合併に反対していること自体は審査に影響しないが、出光側が計画を修正し前提が変われば、審査の見直しが必要になる可能性もある。

 出光は審査終了を待って9月に昭和シェルの株式約33%を取得し、来年4月の合併に向けて具体的な交渉を進める方針。JXと東燃ゼネラルも来年4月の合併を目指す。

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【用語解説】出光興産と創業家

 出光興産は出光佐三氏が1911年に創業した出光商会が前身で、7代目社長の出光昭氏までほぼ創業家から社長を出していた。現在は経営陣に創業家出身者はいないが、出光美術館などの保有分を含めて発行済み株式の約34%を持ち、経営に影響力がある。佐三氏の長男で5代目の社長を務めた出光昭介氏が昭和シェル石油との合併に反対している。