ポケモンGOの課金は「浅く広く」 ARと人気キャラが融合 ゲーム界に新潮流

 
人気ゲームアプリの配信。国内で始まったポケモンGO=東京・新宿(伴龍二撮影)

 22日に日本でも配信が始まった「ポケモンGO」。現実とゲームの世界が二重映しになる拡張現実(AR)や衛星利用測位システム(GPS)による位置情報といったスマートフォンならではの技術と、国内外で20年間親しまれてきたポケモンというキャラクターを融合したことが魅力だ。「広く浅く」という課金手法も含め、スマホ向けゲームに新たな潮流をもたらしそうだ。

 ポケモンGOを開発した米ナイアンティックのジョン・ハンケ最高経営責任者(CEO)は22日公開した動画で「皆が家の外に出てもっと歩き、新しい場所へ向かい、友達と楽しむゲームだ」とアピールした。従来とは異なるゲームのあり方を追求した同社の試みが現時点では成功している。

 ポケモンGOを支える技術の一つがARだ。平成22年にベンチャー企業の頓智ドットが配信した「セカイカメラ」は実際の風景に飲食店などの情報を重ねて表示し人気となったが、4年後にサービスを終了。ARは本格的な普及には至っていない。

 位置情報を使ったゲームはこれまでもあったが、米グーグル出身のハンケCEOは、宇宙から見た地球の姿が細部まで見える「グーグルアース」の開発に携わっただけに、位置情報の精度を一段と向上させた。こうした技術を最大限活用したことが米国などでのヒットにつながったようだ。

 スマホゲームの多くは無料で始められるが、“くじ引き”のようにアイテム(道具)が当たる「ガチャ」で課金するのが主流だ。しかし、これでは少数の利用者への多額の課金に頼ることになる。ポケモンGOはアイテムを少額で販売するという新たな課金手法を採用した。

 ゲーム雑誌が発行する「ファミ通ゲーム白書」によると、昨年の国内ゲームアプリの市場規模は9283億円で米国の約1・4倍。電車通勤が多いことなどがあり、日本はスマホゲーム大国だ。それだけにポケモンGOは米国以上に浸透する可能性があるが、「家の外に出るゲーム」として市民権を得るには安全対策の徹底が課題になる。(高橋寛次)