アサヒVSサントリー、訴訟和解もノンアル激戦 増産も需要頭打ち
ノンアルコールビールの特許をめぐりサントリーホールディングスとアサヒビールが争った訴訟は知財高裁で和解が成立した。だが両社はともにシェア(市場占有率)が4割超と業界トップの座を激しく争い、販売では一歩も引かないつばぜり合いが続く。今夏は両社ともにノンアルビールの増産を計画するなど、シェア首位の座をかけて激しく火花を散らしている。
サントリーがノンアルビールの特許権を侵害されたとして、アサヒの主力商品「ドライゼロ」の製造と販売差し止めを求めたが、20日に和解が成立。それぞれの商品の製造と販売はこれまで通り続ける。和解について両社は「互譲の精神に基づく」とのコメントを出した。
だが、販売の現場では譲り合う気配は全くない。
昨年初めてサントリーからシェア首位の座を奪ったアサヒは、7~8月は「ドライゼロ」を前年比で3割増産する強気の計画を打ち出している。飲食店向けにも積極的に販売攻勢をかけシェア拡大を狙う。
一方、シェア2位のサントリーも7~8月は、主力商品「オールフリー」を1割増産する。3月から専用のミニ自動販売機を温浴施設に展開するなど、販路の拡大を急ぐ。
ノンアルビールは飲酒運転の罰則強化などを背景としてドライバーを中心に人気となり、市場規模を拡大してきた。業界の推計によると、2015年の市場規模は1738万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と、09年に比べ3倍超に拡大した。
メーカーにとって、酒税がかからないノンアルビールは利益率が高い。発泡酒などを含む「ビール類」の市場縮小が続くなか、ノンアルビールは収益源としての期待が大きく各社の開発競争が激化したことが、特許をめぐる両社の訴訟にまで発展した背景にある。
ただ、「ビールの代替品として飲むドライバーの需要は一巡した」(大手ビール幹部)とされ、市場規模の拡大は鈍化。ここ数年は1桁成長が続き、15年の需要の伸び率は5.8%にとどまった。16年も伸び率は縮小するとみられるだけに、販売競争は厳しさを増しそうだ。