マンションデベロッパー、住民コミュニティー支援

 
武蔵浦和SKY&GARDENの一角にあるライブラリー=さいたま市南区

 ■資産価値向上へ住みやすさ訴求

 マンションデベロッパーの間で、住民同士によるコミュニティーの活性化を支援する動きが相次いでいる。新日鉄興和不動産(東京都港区)とコスモスイニシアなどによる共同プロジェクト「武蔵浦和SKY&GARDEN」(さいたま市南区)では、ライブラリーやキッチンスタジオなど、23の共用施設が集結するコミュニティー棟を設置。交流イベントなどを仕掛ける。

 長谷工コーポレーションの管理会社は「マンション打ち水大作戦」と題したイベントを、全国でスタートした。良質なコミュニティーが形成されるような仕掛けを通じ、住みやすい環境を整備し、資産価値の向上につなげていくのが狙いだ。

 7月中旬、武蔵浦和SKY&GARDENでまちびらきイベントが開催された。ステージでは「よさこい演舞」や「阿波踊り演舞」が行われ、各種屋台が並んだ。

 この街では一般ファミリー向けと、活動的なシニア層向けの分譲マンションが一体となっており、計776の住戸で構成されている。多種多様な世帯の交流を促進するためのきっかけづくりが、まちびらきイベント。3月の入居前に契約者の中から「まちづくりサポーター」を募り、ミーティングを重ねて実現にこぎ着けた。全般的にまちづくりの参加意識が高く、住民は月額470円をコミュニティー費用として支払っている。

 ◆防災計画も重視

 防災計画についてもコミュニティーという観点を重視。住民との間で対話を重ねながら策定を進めていく。新日鉄興和不動産の茂見匡泰・都市創造第一グループリーダーは「管理会社任せではなく、参加意識が高まるはず」とメリットを説く。また、濃淡はあるものの今回のプロジェクトで得たノウハウを今後のマンション開発で、反映させていく考えだ。

 大成有楽不動産と長谷工コーポレーションが、来年1月の完成に向けて開発を進めている「オーベルグランディオ品川勝島」(東京都品川区、総戸数452戸)ではすでに、契約者向けのコミュニティーイベントを開催。具体的には、子供の年齢ごとに2部制とした「子育て交流会」で、品川区の支援制度などに関する情報交換を行った。

 マンション内には焼きたてパンなどを提供する「カフェラウンジ」や「キッズ&ママラウンジ」などの共用施設が用意されており、入居後にも交流支援に力を入れる。

 ◆環境への意識高める

 長谷工コミュニティなど、長谷工グループの管理会社が展開するマンション打ち水大作戦は、今年で9年目。居住者の環境に対する意識を高めるとともに、災害時などにも重要となる住民同士の交流やコミュニティーの活性化を図るのが目的だ。昨年は6万2000を超える世帯が参加しており、今年も多くの参加を見込む。

 首都圏にある既存大型マンションの管理組合では、仲介会社を招き質の高いコミュニティーを訴求する取り組みが顕在化しているという。できるだけ高い価格で売却できる仕組みを構築するのが目的。こうした現状を踏まえ、不動産会社によるコミュニティー化を支援する動きは、さらに活発化しそうだ。