ＮＥＸＩ、アルゼンチン農協向け貿易保険　調達先多様化を支援

　日本貿易保険（ＮＥＸＩ）は２５日、全国農業協同組合連合会（ＪＡ全農）の主要取引先、アルゼンチン農業協同組合（ＡＣＡ）向け中長期運転資金融資に対する貿易保険の引き受けを決めたと発表した。

　ＡＣＡは５０年以上にわたるＪＡ全農の主要取引先で、トウモロコシや小麦などを日本に輸出している。オランダのＩＮＧ銀行東京支店と三菱東京ＵＦＪ銀行がＡＣＡ向け総額１億ドル（約１０６億円）の協調融資を実施したが、自然災害や経営不振などで返済不能の場合に最大で全額を肩代わりし、日本向け穀物の安定調達や調達先多角化を支援する。アルゼンチンは昨年１２月、中道右派のマクリ大統領就任を機に従来の反米左派路線を転換。外資の投資環境整備にカジを切ったため、農業やインフラ関連の企業の関心が高い。穀物輸出税も段階的に引き下げ、日本やアジア向け穀物輸出が増える見通しだ。

　ＮＥＸＩは引き受け条件として、ＡＣＡに緊急時の日本向け穀物輸出などを義務付けた。中国などが相次ぎ食肉や穀物会社を買収し、穀物関連の競争が激化しており、米国やブラジルに加え、アルゼンチンからの安定調達を目指す。

　ＮＥＸＩは今年３月に引き受け停止中だった国営企業など公的機関向け貿易保険を再開。農業のほか、インフラ関連投資も支援する計画で、日本貿易振興機構（ジェトロ）も今月、アルゼンチンにインフラミッションを派遣した。