アサヒとキリン、イオンと花王 製品輸送で合従連衡相次ぐ
国内で販売する製品の輸送体制をめぐり、大手企業の合従連衡が相次いでいる。トラックの運転手不足を背景に物流費は増加が避けられない見通しで、抜本的な対応を迫られた形だ。27日にはアサヒビールとキリンビールが提携拡大を発表した。
アサヒとキリンは金沢市に共同配送センターを設け、2017年1月から順次、石川、富山両県への拠点に使う。大阪府吹田市と神戸市のそれぞれの工場から出荷した製品をセンターに運ぶ際も同じ鉄道コンテナを利用する。年間でトラック1万台分の量が鉄道輸送に切り替わるという。
ビール類の製品開発や販売量でしのぎを削る両社だが、国内市場の縮小を背景に5年前から首都圏の配送などで協力していた。
トラック運転手の有効求人倍率が2倍前後と全職種平均を大きく上回るなど物流網への懸念も強まり、「業界共通の課題ではより協調すべきだ」(アサヒグループホールディングスの小路明善社長)と判断した。
同様に鉄道輸送シフトに積極的なのがキヤノンとダイキン工業だ。14年からコンテナ2台を共同利用し、東京から大阪へはキヤノンの複写機やプリンターを、逆の方向ではダイキンのエアコンを運んで効率化している。
イオンと花王はトラック輸送で知恵を絞り、今年6月から関東-中部間で「中継輸送」という新方式を導入した。関東を出発したイオンのトラックが、中間の静岡県で花王と荷物を交換し、関東に戻り花王の拠点に届けるといった仕組み。異業種の連携は異例だ。
関東-中部間のトラックは通常、1泊2日で往復する。新方式は日帰りが可能になり、積み荷がない状態で走る無駄も減らせるという。
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