富士ソフト 介護ロボットでブランド向上

広報エキスパート

 □富士ソフトコーポレートコミュニケーション部長 エグゼクティブフェロー・井上喜久栄氏

 --コミュニケーションロボット「パルロ」が話題となっています

 パルロは高さ40センチ、重さ1.8キログラムの人工知能(AI)を搭載したロボットで2010年に発売して、12年には高齢者福祉施設向けモデルを開発しました。お年寄りが「今日のお天気は?」「今場所優勝した力士は?」と質問すると、それにきちんと応え、介護予防ロボットとして新聞やテレビでの露出が急増しています。

 まず、NHK「おはよう日本」の「まちかど情報室」コーナーで火が付き、13年には「さがみロボット産業特区」の報道で、神奈川県のメディアを中心に“介護”と“ロボット”のキーワードで取り上げられ、知名度がグンと上がりました。14年からは日経はじめ一般紙、NHKや民放各社で介護やAIなどを切り口にロボット特集が組まれ、パルロの知名度は全国区になりました。富士ソフトのブランド向上にも着実につながっています。

 --施設からの発信も大きな効果を上げています

 昨年、北九州市の高齢者福祉施設がパルロを導入したことを西日本新聞が報じました。それをきっかけに、九州朝日放送と福岡放送が情報番組で紹介してくれました。以降、例えば愛知県の高齢者福祉施設がパルロ導入を発表したら地元の新聞、テレビでご紹介いただくなど、施設を通じての露出も増えています。

 --金融機関でのパルロ導入も大きく報道されました

 熊本県の肥後銀行が導入し、熊本大学教育学部付属小学校でパルロを活用した「小学生向け金融教室」を開催すると、地元の新聞、テレビ8社から取材いただきました。同行はテレビCM、新聞広告にも採用しており、九州各県からパルロを使った教室開催の依頼が殺到しています。メディア露出を通しての企業イメージの向上と次の取材依頼を掘り起こす好循環をもたらしています。発売当初は、ロボットに対する世間の注目度も低かったのですが、地道な広報活動で、ようやく大輪の花が開いたという感じです。

 --主催する全日本ロボット相撲大会が今年で28回目を迎えます

 1990年から国内最大規模のロボット相撲大会を毎年(90年は年2回)主催しています。約1300台のロボットがエントリーし、毎年9~11月にかけて全国9地区で地区大会を開催します。12月の両国国技館での全国大会で日本一が決まります。開催地ごとに地元メディアにニュースリリースを発信しており、テレビ神奈川「ニュース930α」では、「リケジョ(理系女子)」の切り口で地区大会の模様を密着取材されました。全国大会と同日に開催する世界大会では、日本のほか海外14カ国の大会の上位入賞者が競い合います。海外メディアも取材します。パルロやロボット相撲大会を通じて富士ソフトの技術力をアピールしています。

 --広報体制は

 社長直轄部門で、メンバーは8人です。社内報にも注力しており、製本版の社内報「ひのき」(季刊)やイントラ社内報(週刊)により、(1)経営情報の伝達強化(2)ビジョン・戦略の社内浸透促進(3)社員の一体感醸成-を図っています。最近は、海外でも介護分野でのロボット導入についての関心が高まっており、海外メディアからの取材も多くなりました。

 夢は「パルロ」が人型の介護ロボットの代名詞となることです。これからも国内外を問わず、メディアへの発信を続けていきます。(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子)

                   ◇

【プロフィル】井上喜久栄

 いのうえ・きくえ 1979年関西大法卒、ダイエー入社。広報課長、ディー・エム・インターナショナル取締役営業本部長、広報部長。2005年スタッフサービス・ホールディングス入社、広報部ゼネラルマネージャー。09年富士ソフト入社、コーポレートコミュニケーション部長。15年10月から現職。