パッケージのビジネスモデル変革 デザインプロモーション・渡部彩社長
自動認識システムとシール・ラベル印刷事業を展開するサトーホールディングスグループの中で、商品パッケージや売り場の装飾を受け持つのがデザインプロモーション。昨年4月に営業を開始した若い会社で、消費者アンケートによる市場調査と、その分析結果に基づいた企画立案を踏まえ、デザイン提案から印刷までを総合的に行っている。「下請け的な立場から脱出しなければいけない」。そんな思いで一連のビジネスモデルを確立したのが渡部彩社長。月間の売り上げが従来比で10倍になった商品が登場するなど、着実に成果を残している。
◆マーケ導入、収益確保
渡部さんはもともと、教員志望。しかし、「教師は実社会をほとんど知らない。現実のビジネスと向き合い、きちんとした進路指導を行える人物になろう」といった思いが募り、サトー(現サトーホールディングス)に入社した。
最初の赴任地は広島で飲料の瓶やシャンプーなどの日用雑貨品に貼付する、商品シールの営業に携わった。
シール営業は生活に密着した製品を取り扱うといった理由から、大半が女性社員によって占められていた。しかし、当時は結婚を機に退職するケースが多かった。経験豊富な社員があまりおらず、引き継ぎも十分に行われていなかった。結果として「事業に戦略性を感じることはあまりなかった」そうだ。
また、独特の慣習もあった。デザインは顧客に無料で提出することになっていたのだ。当時、デザインを作成するスタッフだけで30人が存在した。こうした慣習を放置していては収益が圧迫されるばかり。このためビジネスモデルの変革に着手していく。
具体的にはマーケティング手法を導入。当初は広島支店の30人による人気投票を取り入れ、「『こういったデザインを取り入れたら、売り上げが確実に伸びる』ということを、はっきり言えるようにした」。コンサルティング型営業のスタートだ。
また、事業推進の戦略を練るポジションに移ってからは、さらに大きなマーケティングを全国単位で実施。その結果に基づいた鶏卵のラベルなどを作成、売り上げ増に貢献した。そうした実績の積み重ねによって、デザインの提案段階でも一定の収入を確保できるようになった。新たなビジネスモデルが軌道に乗り始めたので専門の新会社を設立することによって、意思決定の迅速性を追求することにした。
◆嗜好に合わせ対応
食品や日用雑貨品メーカーにとって、小売店のバイヤーが関心を寄せる魅力的なパッケージをいかに生み出せるかが重要な課題となる。その意味で、デザインプロモーションは今や顧客のパートナーとして重要な役割を果たしている。
例えば、あるメーカーの椅子の滑り止め。従来は月間で100個程度の売り上げしかなかったが、10倍になった。男性は機能性や高級感に敏感に反応する点に着目。こうした特性を前面に訴えたパッケージへと変えることによって、ヒット商品として結実したのだ。現在は月間で10~20の商品の開発に携わる。
訪日外国人観光客による爆買い現象で証明されたように、日本製の商品に対する海外での信頼度は高い。このため食品・日用品メーカーにとって、インバウンド対応だけでなく海外市場へ攻勢をかけることは重要な戦略だ。
その過程で重要な役割を果たすのがパッケージ戦略。国・地域ごとに嗜好(しこう)性が異なり、きめ細かな対応が求められるからだ。サトーホールディングスは全世界に販売網を構築している。この強みを生かして海外輸出の支援体制を強化するとともに、ウェブを活用した働き方の変革にも挑むのが、渡部さんのこれからの課題だ。(伊藤俊祐)
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【プロフィル】渡部彩
わたなべ・あや 広島大教育卒。2003年サトー(現サトーホールディングス)入社。14年デザインプロモーション部部長、15年4月から現職。16年4月プライマリーラベル事業統括部長。島根県出身。
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【会社概要】デザインプロモーション
▽本社=東京都目黒区下目黒1-7-1 ナレッジプラザ
▽設立=2015年4月
▽資本金=3000万円
▽従業員=4人
▽事業内容=商品企画、マーケティング