使用した水と同量の水資源確保
eco最前線を聞く□コカ・コーライーストジャパン コーポレート・コミュニケーション本部サスティナビリティーマネジメント部エンバイロメンタルスペシャリスト・松尾久利子さん
関東、東海と南東北の1都15県でコカ・コーラ社製品を製造・販売している日本最大のボトラー、コカ・コーライーストジャパン(東京都港区)。事業の発展を目指す上でサスティナビリティー(持続可能性)に取り組むことは不可欠だ、との観点から地球環境保全に向けた取り組みを続けてきた。近年は、CO2の削減や省エネ、空容器の再資源化などに加え、水源域の保護にも力を入れている。同社の水資源保護活動について、コーポレート・コミュニケーション本部サスティナビリティーマネジメント部エンバイロメンタルスペシャリストの松尾久利子さんに聞いた。
--コカ・コーライーストジャパンの進める水資源保護活動とは
「コカ・コーラシステムは世界規模で事業を展開しており、この水資源保護活動は“ウォーター・ニュートラリティー”と呼ばれ、全世界で展開している。コカ・コーライーストジャパンでは、専門家の意見を取り入れ、降水量や水源域の状態から整備規模を割り出し、管轄する8工場で使用した水を還元するため、水源域が持続的に育み蓄える力を持ち続けられるよう、森林保全などに取り組んでいる」
--目標は
「2020年までに森林保全活動を通して、森などが地下水を蓄える力である“涵養(かんよう)力”を高めることで、製品に使用されている同等量の水を自然にかえす、というもの。コカ・コーライーストジャパンではこの目標を大幅に前倒しし、16年中にも達成できそうだ」
--活動の具体的な内容は
「水は清涼飲料にとって大切な原材料のひとつだ。水は工場で河川や地下水などから取水する形で使用している。このため、基本的には、工場が使用している水源域の涵養を進めている。例えば、愛知県東海市には東海工場が立地していることから、木曽川水系の水源域、岐阜県恵那市で森林の間伐などを行ってきた。埼玉県吉見町の埼玉工場と同県岩槻市の岩槻工場は、利根川水系の流域に立地することから、その水源域である群馬県片品村で同様の取り組みを進めている。また、神奈川県海老名市にある海老名工場では、他工場の取り組みに加え、冬に使用していない田んぼに水を張ることで地下水涵養に効果が期待できる“冬期湛水(たんすい)”なども実施している。いずれも県や地元自治体、森林組合、他企業と連携しての展開だ」
--課題は
「現在、厚木と片品、恵那のほか蔵王(宮城県蔵王町)では水資源保護を実施しているが、多摩(東京都東久留米市)、茨城(茨城県土浦市)、白州(山梨県北杜市)の各工場については、20年までには何らかの活動を展開したいと考えている」
--活動の成果や将来展望は
「森林保全を通じた水資源保護活動では一定の成果があったと考えているが、この活動と連動して進めてきた“環境教育プログラム”なども今後の効果にも期待したいところだ。同プログラムは、植林や間伐、その際に出る間伐材を使った木工体験、田植えなどを地域の子供たちを招いて行うイベント。この活動では、次代を担う子供たちに水資源保護の大切さを伝えることができるとともに、コカ・コーライーストジャパンという企業に対する理解を深めていただきたい。今後も50年後、100年後を見据え、こうした活動に真摯(しんし)に取り組んでいきたい」(青山博美)
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【プロフィル】松尾久利子
まつお・くりこ 1989年、東京コカ・コーラボトリング(現コカ・コーライーストジャパン)入社。営業企画部、広報環境部、関連会社での法人営業部を得て、2015年からコーポレート・コミュニケーション本部サスティナビリティーマネジメント部エンバイロメンタルスペシャリスト。
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