全日空グループ 愛犬同伴“空のツアー”本格化も 旅行業界も期待

 
全日空グループが試験的に実施した、客室に愛犬を同伴させて空の旅を楽しめるツアー=5月20日

 全日空グループが、客室に愛犬を同伴させて空の旅を楽しめるツアーを本格化できるか検討している。5月下旬、試験的に実施した北海道ツアーは応募が殺到。動物が苦手な乗客もいることから課題はあるが、ペットがいるからと遠距離の旅を控えていた人は多い。旅行業界も新たな需要を開拓できると期待を寄せる。

 5月のツアーでは、2泊3日で87人と犬44匹が北海道釧路市の阿寒湖を訪れた。10歳の愛犬とチャーター便で空の旅を楽しんだ千葉市の50代夫婦は「これまで近場しか行けなかったが、飛行機ならいろんなところに行ける」と笑顔だった。

 料金は大人2人と犬1匹でおよそ22万円。募集開始から2日で定員が埋まった。獣医師も同行し愛犬へのケアも充実。担当者は「次の開催も前向きに検討したい」と声を弾ませる。

 全日空によると、国内の航空会社では現在、ペットは貨物室に預けるよう定めている。貨物室は客室内と同じ温度に保たれるとはいえ、愛犬家からは「かわいそう」「長時間は不安」との声が上がっていた。

 全国ペット・ツーリズム連絡協議会の会長を務める東洋大の東海林克彦教授(国際観光学)は「ペットを飼っていても遠出したいという考えが当たり前になってきた」と全日空の取り組みを歓迎する。

 ただ、同社はかつて、国際線でペットを客室に持ち込めるサービスを提供していたが、動物の苦手な乗客に配慮し、2005年に終了している。アレルギーを持つ人もおり、対策は欠かせない。ツアー後に今回の企画を知った客からは「犬が乗った機内に座りたくない」との苦情が寄せられた。

 全日空はツアー後、より丁寧に機内を清掃。今後、同様のツアーを本格化させる場合について、担当者は「機内清掃の内容を公表するなど配慮したい」としている。

 ペットフード協会によると、昨年10月現在、国内の犬猫の飼育数は推計で約2000万匹。東海林教授は「これだけのペットと飼い主が遠出しやすくなれば、旅行産業の活性化にもつながる」と話す。ペット同行のツアーには、目的地の宿や娯楽施設などの対応も不可欠だ。全日空の担当者は「飛行機に一緒に乗って終わりでは意味がない。旅先の地域ぐるみでの協力も必要だ」と話している。

 国内大手旅行会社の担当者は「移動手段がないと、そもそも旅行が成立しない。乗り物にペットが乗れるよう整備されれば、ペットを対象にした旅行商品も増えていくのではないか」と期待している。