東京ガス 電力小売り事業を2、3年で黒字化
トップは語る□東京ガス社長・広瀬道明さん(65)
--4月に参入した家庭用電力販売が好調だ
「今年度の当初目標(40万件)を早期にクリアできた勢いで、新たな目標として掲げた53万件を年内に達成したい。約束した当初目標を超えてホッとしたが、家庭用を中心とする電力小売り部門は、今年度は販促費などがかさみ赤字予想。同部門を2、3年で黒字転換させるつもりだ。そのためには件数をある程度積み上げなければいけない。電力事業を早く一人前にしたい」
--来年4月には都市ガス小売りの全面自由化が始まり攻め込まれる立場に変わる。どう対処する
「新規参入業者の動きを見極めて、料金も含めて対抗策を考えていきたい。今は家庭用電力販売も始めた首都圏で精いっぱいだが、域外のガス会社で動きがあれば検討していく」
--民営化を目指す仙台市ガスの買収についてはどうか。民営化延期で一度断念した経緯があるが、公営ガス首位で魅力の案件であることに変わりはない
「前回私自身が携わっていたこともあり、個人的に関心を持っている。なかなか民営化は難しいと聞いてはいるが、東日本地域での動きについてまったく関係ありませんとはいかない。都市ガス事業のリーディングカンパニーとしての責任のようなものもある。地域の意向をしっかりくみ取り、何らかの形で、と考えている」
--海外事業も強化中だ
「とくに東南アジアに力を入れている。経済成長が高く、エネルギー需要の増大が見込めるインドネシアやベトナムが有望市場だ。液化天然ガス(LNG)を調達して、LNG基地を設置したり、ガス火力発電所を建設したりする。こういうわれわれが昔から取り組んできたビジネスを生かせる土壌がある。シンガポールの東南アジア統括会社にはプロジェクトの話が多数入ってくる」
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【プロフィル】広瀬道明
ひろせ・みちあき 早大政経卒。1974年東京ガス入社。執行役員企画本部総合企画部長、常務執行役員、取締役常務執行役員、副社長を歴任。14年から現職。東京都出身。
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