伊方原発3号機再稼働 四電、250億円利益押し上げ期待
■価格競争力向上、「新電力」に対抗
伊方原発3号機(愛媛県)が再稼働したことで、四国電力は今後の収益改善が期待できる。伊方3号機が動けば、代替電源としてフル稼働していた火力発電の燃料費が減り、年間約250億円の利益押し上げ効果が見込めるからだ。独自の取り組みも加えた安全対策に1700億円を投じる計画で、これらの費用の回収にもめどが立つことにもなる。
伊方原発の停止以降、最終赤字に陥っていた四電は、電気料金引き上げの効果などで2015年3月期に4年ぶりに最終黒字に転換した。16年3月期も原油安に伴う燃料費の低下に助けられ111億円の最終黒字だった。値上げと、原油安という外的要因に頼る形でかろうじて黒字を確保してきたが、17年3月期は販売電力量が減り、売上高は前期から40億円(0.6%)減少する見通し。3年連続の最終黒字が厳しくなっているだけに、上期中での伊方3号機の再稼働は追い風になる。
今年4月に始まった電力小売りの全面自由化で、東京電力ホールディングスなど大手電力は、異業種のガスや石油元売りなど「新電力」に一定数の顧客を奪われている。競争の中心は人口が多い首都圏と関西圏だが、この2大都市圏での競争が一巡すれば、今後は地方での顧客争奪戦が本格化するとの見方も少なくない。7月末時点で電力契約の切り替えを申請した世帯数が7300件と1万件にも満たない四電管内も例外ではなく、危機感を募らせる。
「ようやくスタートラインにたった」。四電幹部はこう力を込める。管内唯一の原発という“虎の子”の再稼働を機にさらなるコストの圧縮に着手。価格競争力を高めて顧客流出を抑える方針だ。(佐藤克史)
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