「世界最高米」で国際競争力 東洋ライス・雜賀慶二社長

 

 東洋ライスは「お米の総合メーカー」として、精米機器製造、稲作の土づくり、種籾の開発など、コメに関する全ての工程を事業領域としている。とくにコメの精製技術の開発に力を注ぎ、「無洗米」「金芽米」「金芽ロウカット玄米」などのヒット商品を生み出している。7月にはこれまでの集大成として開発した「世界最高米」が世界で最も高額なコメとして、ギネス世界記録に認定された。雜賀慶二社長は「味がよく健康効果の高い日本のコメを世界へ発信する」と意気込んでいる。

 --「世界最高米」はどのような商品か

 「昨年開かれたコンクールの国際総合部門で金賞を受賞した18品の玄米の中から6品を選び、一般的な価格の約8倍となる1キロ当たり1900円で3870キロを買い取った。さらにその中から約2000キロに絞り、独自の熟成、精米、ブレンドなどの技術によって栄養価が高くおいしいコメに仕上げている。ギネスには『実際に流通した最高価格米』として1キロ当たり1万1304円(109米ドル)として認定された」

 --開発に至ったいきさつは

 「日本の農業就労人口が今年に入り200万人を割り込んだ。個人的に国内から水田が激減するのではないかという危惧を以前から持っていた。これを防ぐにはこれまで以上にコメの需要を喚起し、農家から原料をより高く買い取ることと、海外の富裕層向けの輸出を促進することが有効だ。このためおいしくて栄養価が高く、圧倒的な国際競争力を持つ商品の開発が重要だと思った」

 --発売後の反響は

 「発売前から日本料理の『熊魚菴(ゆうぎょあん)たん熊北店』(京都市中京区)などから予約を受けた。一般向けには6月29日から自社ホームページで売り出した。140グラム6袋のセットで1万800円と高額なので売れるとは思わなかった。ところが5日間で用意した30箱が完売した。その後も問い合わせが多く、海外での販売予定分を国内向けに転用し、先月28日から同様のセットを300箱限定で販売している。来年は今年より出荷量を増やしたい」

 --これから取り組みたいことは

 「私は経営トップであるとともに、技術開発のトップでもある。詳しくは話せないが、新しい商品開発を進めているところだ。金芽米や金芽ロウカット玄米などを食べている人からは、『体調がよくなった』といった声が寄せられている。医療機関などと協力して科学的な裏付けをはっきりさせ、国全体の健康づくりに貢献したい」(佐竹一秀)

                   ◇

【プロフィル】雜賀慶二

 さいか・けいじ 和歌山市立城東中卒。家業の精米機の販売・修理に従事。1961年11月東洋精米機製作所(現・東洋ライス)設立に参画。85年2月から現職。82歳。和歌山県出身。

                   ◇

【会社概要】東洋ライス

 ▽本社=和歌山市黒田12

 ▽設立=1961年11月

 ▽資本金=1億円

 ▽従業員=170人(2016年8月1日時点)

 ▽売上高=82億5200万円(2016年3月期)

 ▽事業内容=総合食品加工機器製造販売、米加工品製造販売など