ポイント・ゲーム通貨導入の検討事項
Bizクリニック□グローウィル国際法律事務所代表弁護士・中野秀俊
ウェブサービスを提供している事業者の多くが導入を考える「ポイント制」「ゲーム内通貨」は、資金決済法の「前払式支払手段」(以下、手段)に該当する可能性があり、該当すると非常に面倒な手続きが必要になる。このため、自社のウェブサービスのポイント、ゲーム内通貨が手段に当たるのかを慎重に検討しなければならない。
一方、有効期限が6カ月以内のポイントやゲーム内通貨は同法の適用がなくなり、手段の規制を回避できる。事業者は有効期限を6カ月以内とすることがビジネスとして可能かどうかも併せて検討してほしい。
具体的に法体系をみると手段は、(1)金額等の財産的価値が記録されている(2)金額・数量に応じた対価を得て発行されている(3)代価の弁済のために使用できる-という3つの要件を満たすものとされている。
このうち、(1)と(3)の要件は、ウェブサービスの「ポイント・ゲーム内通貨」であれば、通常は満たす。
問題は(2)の要件だ。例えば、一定額のポイントやゲーム内通貨を現金(クレジットカードなど)で購入してもらう場合にはこの要件を満たし、手段に該当する。
しかし、家電量販店のポイントのように、ユーザーの利用状況に応じて、いわば「おまけ」として無償でポイントを付与し、たまったポイントに応じて景品などがもらえたり、値引きしたりする場合は手段には当たらない。事業者はこれを参考に、手段に当たるかどうかを判断してほしい。
では手段に該当すると、どうなるのか。手段は2種類に分かれ、それぞれ手続きが違ってくる。一つは「自家型」。ポイントを発行する事業者が、自社の運営するサービス内でのみ利用できる「ポイント・ゲーム内通貨」を発行するケースがこれに当たる。この場合、発行している手段の未使用残高(前払式支払手段の総発行額-総回収額)が3月末あるいは9月末に1000万円を超えたときに、内閣総理大臣への届け出が必要となる。
もう一つは「第三者型」。ポイントを発行している事業者以外の第三者の店舗(加盟店、フランチャイズ店等)でも使用できる手段である。典型例はPASMO(パスモ)やSuica(スイカ)などの電子マネーで、この場合は発行前に内閣総理大臣の登録を受ける必要がある。
手段に該当すると、(1)発行者の名称などの一定の事項をウェブサイト内に表示する義務(2)ポイントやゲーム内通貨の未使用残高が1000万円を超えたら、2カ月以内に未使用残高の2分の1以上の金額を営業所の最寄りの供託所に供託する義務(3)行政に対し、定期的に所定の報告書を提出する義務-を負う。
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【プロフィル】中野秀俊
なかの・ひでとし 早大卒。2009年から法律事務所勤務。11年にフロンティア法律事務所移籍。16年4月にグローウィル国際法律事務所を設立し現職、同時に企業経営の課題を解決するみらいチャレンジを設立し代表取締役。大学の時にIT関連で起業した経緯から、IT・ウェブ企業の法律問題に精通している。32歳。埼玉県出身。
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