プレスリリース配信・閲覧で月1億PV目指す PR TIMES・山口拓己社長

 

 企業が新商品やサービスを紹介するプレスリリースは、従来メディアに向けた配信に限られていた。受け取った側のメディアはこれを基に記事化を図るが、全てが掲載されることはない。プラットフォームを通じてリリースを配信するとともに、ニュースサイトで一般の生活者が全てのプレスリリースを読むことができる事業を展開しているのがPR TIMES。山口拓己社長は「企業の情報をエンターテインメントとして生活者に楽しんでもらいたい」と話している。

 --ニュースリリース配信プラットフォームを始めた理由は

 「メディア向けのニュースリリース配信プラットフォーム『PR TIMES』と、100%子会社を通じて生活者向けのニュースサイトを複数運営している。他の企業向けニュースリリース配信サービスも存在しているが、メディアに掲載されて読者に届かなければ価値を生まない。そこで今まで情報を思うように発信できなかった中小企業に直接投稿してもらうサービスとして事業を開始した。企業のメディア向けリリースを一般生活者向けのニュースにも活用することで、各媒体が記事化するほか、直接ウェブ上でも閲覧されている」

 --右肩上がりで利用企業が伸びている

 「フェイスブックや写真共有アプリのインスタグラムなど多くの人が利用しているプラットフォームは、機能の優位性というより、コミュニティーを楽しむために次々と新たな情報が集まっている。PR TIMESも単なる企業PRではなく、ニュースとして配信することで閲覧者が拡大し、さらに投稿する企業も増える。配信と閲覧の相乗効果で利用企業は1万4000社超になり、閲覧回数は月間650万ページビューへと成長している」

 --最近の代表的な事例は

 「5月に開催された伊勢志摩サミットに合わせて、地元の認知度を国内外で高めようと設置された伊勢市情報発信センターのイベントや飲食店・土産物店などの情報をPR TIMESで配信した。全国の人に伊勢のPRを効果的にできたことで地元から好評を得ている。1回の配信で3万円の費用負担ですむため利用しやすく、ネットで全国、海外にも効果的に知名度を上げることができる」

 --今後の成長戦略は

 「従来、メディアはニュースの配信を決める主導権を持っていたが、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の普及で一般の生活者に移りつつあり、こうした変化を好機と捉えている。3月に東証マザーズに上場した際の調達資金を活用してサービス開発のサイクルを加速させる。10月には広報効果をリサーチするサービスを立ち上げる。2020年度までに利用企業数を5万社、閲覧回数を月間1億ページビューにまで伸ばし、営業利益10億円達成を計画している」(佐竹一秀)

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【プロフィル】山口拓己

 やまぐち・たくみ 東京理科大理工卒。1996年4月山一証券入社。ガルフネットコミュニケーション、デロイトトーマツコンサルティングなどを経て、2006年ベクトル入社。07年1月PR TIMES取締役を経て、09年5月から現職。42歳。愛知県出身。

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【会社概要】PR TIMES

 ▽本社=東京都港区南青山2-27-25 オリックス南青山ビル3階

 ▽設立=2005年12月

 ▽資本金=4億471万円

 ▽従業員=48人(16年5月末時点)

 ▽売上高=13億円(17年2月期予想)

 ▽事業内容=ニュースリリース関連サービスなど