フィンテックの指紋や顔認証で決済簡易化 ベンチャーが実証実験
金融業界で、金融とITを組み合わせて新しいサービスにつなげる「フィンテック」がブームになっている。とくに決済分野において、手続きを簡単にしたり、手数料を安くしようと、フィンテックを活用したベンチャーが相次いで参入している。
「ここに指を当ててください」。神奈川県湯河原町の温泉街。浴衣姿に手ぶらで豆腐屋に立ち寄った旅行客の川端和雄さん(76)が、店員に差し出された小型センサーに指を置くと瞬時に支払いが終わった。「これで買い物できるなんて最高のアイデアだ」
現金やカードなしでの支払いを可能にしたのは、ITベンチャー、リキッド(東京都千代田区)が開発した指紋認証の決済サービス。利用者は事前に親指と人さし指の指紋を読み取り機で登録し、入金する。支払時は指紋で本人確認を行い、購入額を残高から差し引く。リキッドの久田康弘社長(31)は「2020年には国内30万カ所で利用できるようにしたい」ともくろむ。
フィンテックをめぐっては、決済のほかスマートフォンやタブレット端末での家計簿、資産管理やインターネット上で取引できる仮想通貨、人工知能(AI)を活用した融資といったさまざまな動きが広がり始めた。
欧米が先行しているが、日本政府も昨年、金融庁が重点分野に位置付けるなど力を入れ始めた。湯河原の取り組みも、訪日外国人向けの新サービス導入を目指す、政府主導の実証実験だ。
フィンテックでは、ITを採り入れやすい決済分野の取り組みが進んでいる。リキッドだけでなく、同じくベンチャーのコイニー(渋谷区)が13年から、専用のカード読み取り機をスマホやタブレット端末とつないで決済する事業を開始。導入費用が安く、持ち運びしやすい利点を売りに小規模店や医療機関などで採用が増えている。
広島銀行(広島市)も行内食堂で今年2~3月、顔認証で本人を確認し、口座から利用額を引き落とす仕組みを実験した。小売店や社員、学生食堂などで、来春からの本格運用を目指している。
百花繚乱状態の決済サービスだが、普及を進めるにはスマホなどITになじみがない商店経営者らに導入を促す必要がある。コイニーの佐俣奈緒子社長(33)は「システムの操作を究極に簡単にしなければいけない」と、さらなる改良を見据えている。
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