いまこそ、業界変革の時期

遊技産業の視点 Weekly View

 □サミー代表取締役社長COO・里見治紀

 遊技産業における参加人口の減少が、業界の深刻な課題として掲げられて久しい。だが、自動車産業に目を向けても、若者の“車離れ”を止めることができていない。これは若年層世代における生活様式の変化に起因するものであり、遊技産業に限ったことではない。だからといって、ファンの裾野を広げる努力を等閑にしてよい理由にはならず、かつてない展開を視野に、業界を挙げた参加人口増加施策を打ち出すことが急務といえる。

 弊社の例を挙げれば、先月24日にユニバーサルエンターテインメント社とファンイベントを共催。ファンの方々に楽しんでもらえるようアトラクションを多彩に用意するとともに、まだ市場デビューを果たしていない新機種の発表や先行試打を提供するなど、幅広く遊技の魅力を伝えた。結果、1万6500人が参加する盛況ぶりを見せたが、とにかく「パチンコホールに足を運んでみたい」と思ってもらえるPRと、「来てよかった」と実感できる環境整備が肝要だ。後者に関しては、とりわけ“プレイ単価とプレイ時間”に視点を置いた改善が指摘される。遊技に長時間を有する環境そのものが参加機会の減少を招き、自ら市場をシュリンクさせている。この状況を打破するためにも、短時間で遊技の面白さを体験できる遊技機の開発とオペレーションが求められている。

 もう一つ重要なことが、遊技業界全体での危機感の共有だ。誤解を恐れずにいえば、過去によい経験をしてきた世代の中には、変わることを好まず、たとえ足場が悪くても従来の延長線上に未来を描こうとする人もいる。だが、われわれの世代は30年後、またそれ以降を考えながら、先を見て“変革の手”を打っていかなくてはならない。企業の将来を考えるためには、持続可能な成長をとげる産業としてのビジョンが必須であることを知っているからだ。

 「変わりたくない」ではなく、“次の価値観”の共有を図り、自浄・自律を前提に、遊技産業の持つポテンシャルを遺憾なく発揮できる業界へと変わらなければならない。

                   ◇

【プロフィル】里見治紀

 さとみ・はるき 1979年生まれ。明治学院大学国際学部卒業。米カリフォルニア大バークレー校経営大学院修了。国際証券を経て、2004年サミー入社。05年セガ入社。12年セガサミーホールディングス取締役。グループ企業の複数の要職を兼務するなか、今年4月サミー代表取締役社長に就任。