ルネサス、米半導体会社買収 最大3000億円で検討 車載用を強化
半導体大手のルネサスエレクトロニクスが同業の米インターシルを買収する方向で最終調整していることが22日、分かった。買収額は最大で3000億円。省電力技術に強みを持つインターシルを取り込み、車載用半導体事業を拡大するのが狙い。大規模なリストラを実施し、経営危機を脱したルネサスは今回の買収を契機に成長戦略を推進する。
インターシルは消費電力を抑える半導体を主力製品とし、車載や産業機器、通信、航空宇宙など幅広い分野に供給する。2015年の売上高は5億2200万ドル(約520億円)で、欧米やアジアの自動車メーカーに販路を持つ。従業員は約1100人。
車載用半導体は今後、自動運転などの普及で世界的に需要が拡大する見通し。ルネサスは今回の買収で、製品ラインアップを拡充し、海外の車載用半導体事業を強化したい考えだ。
車載用半導体市場は昨年から大型再編が起こり、ルネサスは世界シェア首位から3位に後退しており、インターシルの買収で巻き返しを図る。
ルネサスは10年に日立製作所、三菱電機の半導体事業を統合したルネサステクノロジとNECエレクトロニクスが経営統合して発足。円高や東日本大震災で経営危機に陥り、産業革新機構から出資を受けて大規模なリストラを断行、現在は業績が回復基調にある。
自動車部品大手カルソニックカンセイ社長などを歴任し、6月にルネサス社長に就任した呉文精氏は「M&A(企業の合併・買収)で競争力を高めたい」と述べていた。
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■ルネサスエレクトロニクスの沿革
2003年4月 日立製作所と三菱電機の半導体部門を分社・統合して「ルネサステクノロジ」を設立
10年4月 NECエレクトロニクスを存続会社にルネサステクノロジを統合し、「ルネサスエレクトロニクス」が発足
11年3月 東日本大震災で8工場が操業停止
13年9月 産業革新機構とトヨタ自動車、日産自動車などを割当先とする1500億円の第三者割当増資を実施し、産業革新機構が約70%の筆頭株主に
14年2月 半導体工場など14事業所を2子会社に再編
15年9月 資本金2283億円を100億円に減資
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