ゲームで「終活」疑似体験 セミナーや相談増加 関心高まる

 
ピップ&ウィズが共同開発した「こころづもりボードゲーム」を試す社員

 高齢化が進む中、人生の最期に向けていかに準備するかを考える「終活」への関心が高まっている。高齢期の医療、介護を疑似体験できるボードゲームや相続、葬儀について学ぶセミナーが人気だ。「おひとりさま」の増加もあり、身元保証の支援や遺贈寄付に関する相談へのニーズも強まっている。

 ◆制度や病気理解

 ロボットの開発や販売を手掛けるピップ&ウィズ(大阪市)は2015年、筑波大学の研究プロジェクトと「こころづもり ボードゲーム」を共同開発した。

 ゲームを通じて、高齢に伴う心身の機能低下や病気によりどんな状態になるのか、かかる費用や利用できる支援は何かについて疑似体験できる。家族と楽しく対話しながら準備する機会を設けることが狙い。介護や終活関連の催しでの活用を検討している。

 ゲームはすごろく式で高齢者役と家族役の2人一組でチームを組む。1周ごとに年金と家族の給与が入り、資金となる。高齢者はマスを進めるほど病気などで心身の機能が低下するため資金を使って治療したり福祉サービスをうまく活用したりしなければならない。

 イベントマスでは「脳梗塞」や「認知症で記憶障害」になることがある。体の状態によって介護保険制度が適用され、受けられるサービスが決まる。広報担当者は「ゲームをしながら制度や病気について知ってもらえるように工夫した」と話す。

 ◆費用の不安解消

 全国約540社の葬儀社と提携し、葬祭事業や終活支援を展開するイオンライフ(千葉市)は、葬式や墓、相続、遺言信託について学べる「終活フェア」を年100回ほど開催。14年9月に開始した会員制度は、無料で電話相談でき、墓の購入などが割引となる。今年7月末で会員は約12万人に上る。消費者には葬儀社や弁護士、税理士と個々に相談や手続きをする手間が省けるメリットがある。

 広原章隆社長は「生前に葬祭関連にかかる費用を明示することで消費者の不安を解消、それ以外の貯蓄を第二の人生で有効に使って楽しんでもらいたい」と話す。

 身元保証や遺言信託を支援する法人とも連携している。最近では都心部を中心に、単身世帯の増加や「家族に迷惑をかけたくない」といった事情を背景に「病院や施設に入る際の身元保証をしてほしい」「死亡届や年金の停止手続きを頼みたい」といった問い合わせが増えているという。

 日本財団は今年4月、遺贈による寄付や終活に関する相談を無料で受け付けるサポートセンターを開設。8月上旬までで約360件の問い合わせが寄せられた。センターでは、どんな団体にどんな形で寄付をしたいのかを聞き、相続の問題や遺言書の作成方法などについて専門家と連携しながら相談に応じている。遺産は通常、法定相続人が受け取るため、施設や団体に寄付したいと思っていても遺言書がないと遺贈はできない。

 都内に住む40代の女性は「家族が心疾患で亡くなった。子供もいないので、財産を心臓の研究に役立ててほしいと思い相談に来た」と話す。

 担当者は「遺贈文化が広がるには、寄付する側とされる側の双方を支援する態勢の強化が必要だ」と話している。