□ワールド・ワイズ・ジャパン代表、LOGOSプロジェクト主幹・濱口理佳
■過去の延長線上に、もはや「未来像」はない
業界の転換期において、遊技業界の歴史(過去)を振り返り、頭の整理をすることが多くなった。年表だけでなく、先人の残した言葉や行動など、手を広げればきりがない。
先日は、本コラムにも精力的に寄稿していたシークエンスの故・三浦健一主幹の過去ブログなどをひもといていたのだが、かなり以前から警鐘を鳴らしてきたことが、いま現実のものとなっている。
彼ら危機感を持った先人たちは、遊技業界がサスティナブル社会で存続するために必要な「業界が解決すべき課題」「パチンコホール経営者が正すべき姿勢」を提示したり、業の持続可能な成長・発展を見据えた方向性を繰り返し打ち出してきた。しかし、今般のドラスチックな市場シフトを経て、もはや彼らが紡いできた過去の線上に“業界の明日”を描くことは困難な現状といえる。
業界として、サスティナブルに主軸を置いた判断を積極的に下してこなかったばかりに、行政発言による「遊技くぎ問題」や、カジノ法案をめぐるギャンブル依存症問題に巻き込まれ、外的圧力により“業界のカタチ”を変えざるを得ない状況を招いた。業界やファンが望まぬ形であっても「変わらなければ生き残れない」状況へと、自らの首を絞めたのだ。
だがこれを甘んじて受け入れているだけでは、これまで通りのスケールで雇用や納税など産業としての役割や、社会的責任を果たすことができなくなる。また「原点回帰」が掲げられるなか、現実的視点でホール経営を捉えれば、いまのコストを維持しながら、数十年前と同じ大衆娯楽に戻ることは限りなく不可能に近い。要は「時代に適した原点回帰」を遂げる必要があるということだ。
それは、業界の歴史を踏まえつつ、われわれが新たに築かなければならない価値観であり、産業像に他ならない。具体的にどのようなものなのか、業界に関わるすべての人々がそれぞれの立場で模索し、「そもそも論」から「これから論」へと議論を昇華させる必要がある。
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【プロフィル】濱口理佳
はまぐち・りか 関西大学大学院文学研究科哲学専修博士課程前期課程修了。学生時代に朝日新聞でコラムニストデビュー。「インテリジェンスの提供」をコアにワールド・ワイズ・ジャパンを設立。2011年、有志と“LOGOSプロジェクト”を立ち上げた。
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