キリン、包装用段ボールの新技術実用化 紙使用量さらに16%減

 
キリンが開発した新カートン「スマートカットカートン」は従来より約16%軽量化しながらも、強度は維持した(同社提供)

 国内飲料大手のキリンが缶ビールやペットボトル飲料向け包装用段ボール(カートン)の省資源化に取り組んでいる。カートンの四隅を切り落としたり、段ボールの芯の紙を薄くするといった新たな技術を導入することで、紙の使用量を減らすのが狙いだ。

 環境保全機運の高まりを受け、キリンは2002年以降、カートンの軽量化を進めてきた。同社では同じ厚みのものでも角が多いと荷重に対し、強くなる特性に着目。04年にはカートンの四隅を切り落として、側面を8面構造にして強度を確保したカートン「コーナーカットカートン」を導入。段ボールの芯の紙を薄くしても荷重に耐えられるようになり、350ミリリットル缶用カートンでは紙の使用量が約10%削減したという。

 しかし、この技術にも限界があった。段ボールの芯の紙をさらに薄くすると、倉庫などでの保管時に上から荷重がかかった際、強度不足でカートンが変形したりするトラブルが想定された。カートンのさらなる軽量化を実現するには、さらなる改良が求められていた。

 キリングループで包装容器の開発を担うキリンパッケージング技術研究所で約4年の開発期間を経て、実用化にこぎ着けたのが「スマートカットカートン」だ。新カートンは「コーナーカットカートン」の技術をベースに、段ボールシートメーカーの王子コンテナー(東京都中央区)と共同で開発し、15年9月に導入した。カートンの四隅に加え、長側面上部の角(2辺)も切り落としたのが特徴。紙の使用量はコーナーカットカートンと比べて約16%削減したにもかかわらず、強度は維持した。

 もっとも、実用化への道のりは決して平坦(へいたん)ではなかった。とくに、カートンの素材となる紙は湿度が高いと柔らかくなり、反対に低いと硬くなる特性がある。とくに梅雨時期といった多湿期になるとカートンの側面が変形しやすくなるという課題があった。スマートカットカートンを開発した同研究所の會田裕佑氏は「ミシン目の寸法や内寸法を見直すなどの改良でこうした課題を克服した」という。

 新カートン導入による、環境負荷低減効果は紙の使用量削減にとどまらない。段ボール製造時などに排出する二酸化炭素(CO2)を年間2000トン削減できるという。

 現在、新カートンを導入している商品は主力のビール「一番搾り」や第3のビール「のどごし生」、発泡酒「淡麗」などのビール類の一部商品にとどまっている。今後、缶チューハイ「氷結」や「本搾り」といった低アルコール飲料(RTD)商品などにも広げる予定で、さらなるCO2削減に期待が持てそうだ。