スマホに使用電力量を通知 ソフトバンクコマース&サービス、グラモ
■「iRemocon(アイリモコン) Wi-Fi(SM)」
ソフトバンクグループで流通事業などを行うソフトバンクコマース&サービス(C&S、東京都港区)と、ネットワークを利用して機器をコントロールする装置を開発・販売するグラモ(東京都豊島区)は、スマートメーターと連動し、スマートフォンのアプリに電力使用状況をリアルタイムで通知するシステム「iRemocon(アイリモコン) Wi-Fi(SM)」を共同で開発し、5月下旬から販売している。電力の小売り自由化を契機に、エネルギーをより賢く使おうとするライフスタイルの実現を支援する。また、すべてのモノがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)を消費者が身近に感じることができるシステムとしても、注目されている。
◆スマートメーター連動
もともと、グラモが2011年に発売し、主力事業として展開している「アイリモコン」は、外出先などから家電を遠隔操作できるシステムだ。家に着く少し前に冷暖房をオンにすることで、室内の温度をより快適に制御したり、消し忘れを防ぐなどの使い道がある。同社は14年に、円形で無線LAN「Wi-Fi」に対応した2世代目のアイリモコンを投入。これが今回のシステムの原型となった。
ソフトバンクC&Sは、「おうちソリューション」として、スマホと連携して省エネに役立つ製品を販売してきた。家電のリモコンを集約してスマホでまとめて操作したり、電源プラグごとの消費電力を確認する機器などだ。同社では、グラモのアイリモコンに、電力使用量を確認できる新しい機能を追加し、おうちソリューションのラインアップに加えたいというニーズがあった。
一方、グラモにとってもソフトバンクグループの持つ大きな販売網は魅力で、両社がメリットを感じたことが共同開発につながったという。
利用するのは、電力会社が無料で設置する高機能電力メーター「スマートメーター」だ。スマートメーターには決められた通信規格があるため、これに合わせればどんなスマートメーターとも接続できる。Wi-Fiや有線のLANでインターネットにつなぐことで、外出先のスマホからでも電力使用量を確認できる。
◆未来の生活を体験
30分ごとに確認できるようになっているのは、ソフトバンクが提供する電力サービス「ソフトバンクでんき」の「バリュープラン」など、過去1年間のピーク電力に応じて基本料金が設定されるプランがあるからだ。あらかじめ設定した電力量を超えることが予想される場合にスマホに通知したり、アイリモコン内蔵のブザーで知らせるようになっている。
共同開発した製品の利点について、グラモの松岡利英事業推進室長は、「大がかりなものではないので、既存の住宅に手軽に導入できるのが特徴。コストも低い」と強調する。
ソフトバンクC&Sマーケティング企画室の由良健治氏は、「電力使用量の確認だけでなく、外出先からの家電の操作も可能で、1つでスマートな未来の生活を体験できるシステムだ」と話す。
ソフトバンクグループとしては「IoTを提案できる」(由良氏)という利点もある。同社は7月に英半導体設計大手アーム・ホールディングスを過去の日本企業の海外M&A(企業の合併・買収)で最高額の約3兆3000億円で買収したと発表するなど、孫正義社長は、IoTに本腰を入れることを表明している。
製品の価格は税抜きで3万2000円。「ソフトバンクセレクション」のオンラインショップや、ソフトバンクの一部の店舗で取り扱っている。(高橋寛次)
関連記事