高齢化進むタイへ「日本式介護」輸出 ホーム運営、政府も融資など後押し

 

 高齢化が急速に進むタイで、日本企業が介護ビジネスに名乗りを上げている。「超高齢社会」の日本で培ったノウハウが売りだ。日本政府も将来の成長市場と見越し、日本式のきめ細やかなサービスの輸出拡大に向け動きだした。

 落ち着いたBGMが流れる清潔な室内。「体の具合はいかがですか」「おなかはすいていませんか」。木目調の壁に囲まれた部屋で、タイ人の介護スタッフが高齢者に優しく語りかけていた。

 介護事業大手のリエイ(千葉県浦安市)が今年1月、首都バンコク近郊に開設した老人ホーム。6階建てのビルに20室あり、月額の利用料は約6万バーツ(約18万円)。比較的裕福なタイ人高齢者が主な対象だ。

 現地責任者の満屋智樹さんは「タイでは介護予防や自立支援の考えが浸透していない。日本のやり方を取り入れる余地は十分ある」と力説。老人ホームでは、リエイがバンコクで運営し、日本式の介護やマナーを教える介護スタッフ養成学校の修了者を採用している。

 3月、バンコク中心部の大型商業施設。日本貿易振興機構(ジェトロ)が、日本企業の介護や健康グッズを売り込むイベントをタイで初めて開催し、約50社が参加。2日間で約4万人が訪れた。

 経済成長が続くタイは、医療水準の向上などで寿命が延びている。世界銀行やジェトロによると、2014年時点の平均寿命は74.4歳。65歳以上が人口に占める割合は15年時点で10.5%で、22年には14%を超え「高齢社会」に突入する見通しだ。高齢化が進むスピードは日本より速い。

 こうした中、日本政府は7月、日本の介護システムを輸出する「アジア健康構想」を打ち出した。タイなどアジア各国を成長市場とみなし、国際協力機構(JICA)や政府系ファンドの融資制度を活用するなど進出を後押しする。

 ジェトロの担当者は「高品質の日本の介護ビジネスに関心を寄せるタイ人は多い。ビジネスチャンスは広がっていくだろう」と分析している。(バンコク 共同)