まだ伸びる…錦織圭の未来的価値 稼ぎはすでにBIG4入り
スポーツbizテニスの4大大会、掉尾(ちょうび)を飾る全米オープンがニューヨーク郊外のフラッシング・メドウズで始まった。先日閉幕したリオデジャネイロ五輪のメダリストたちの活躍も楽しみである。
錦織圭選手は銅メダル。1920年アントワープでの熊谷一弥のシングルス、熊谷と柏尾誠一郎が組んだダブルス(いずれも銀)以来、96年ぶりのテニスの日本人五輪メダリストだ。
全米では一昨年、マリン・チリッチに敗れはしたが、初めて4大大会決勝に進んでいる。ハードコートの全米は、錦織の4大大会優勝に最も近いといわれるが、壁も高い。
最高額の賞金
全米の賞金総額は、昨年より400万ドル増やし4630万ドル(約47億3090万円)となった。シングルスの優勝賞金も、昨年の330万ドルから史上最高350万ドルに上がった。もちろん全豪の385万豪ドル(約2億9760万円)、全仏200万ユーロ(約2億2830万円)、ウィンブルドン200万ポンド(約2億6740万円)を抑えて4大大会最高額を誇る。
選手たちのモチベーションを高める“格好の原動力”となろう。
ちょっと前の話になるが、米国の経済誌フォーブスが6月、恒例の「世界で最も稼いでいるスポーツ選手」を発表した。
1位はサッカーのクリスティアーノ・ロナウドで、年俸5600万ドル(以下、金額は概算)に広告契約料3200万ドルを加え、総額8800万ドルに及ぶ。以下、同じサッカーのリオネル・メッシ、バスケットボールのレブロン・ジェームスと続く。4位はテニスのロジャー・フェデラーである。
ここに日本人選手が2人ランクイン、74位の大リーグ・ヤンキースの田中将大と錦織圭だ。錦織は昨年も92位で、今年は29位と大幅にランクを上げた。内訳は獲得賞金350万ドル、広告契約料3000万ドルの総額3350万ドルだった。
ちなみにテニス界ではフェデラーの6780万ドルがトップ。ノヴァク・ジョコビッチ5580万ドル、ラファエル・ナダル3750万ドルと続き、4番目が錦織。アンディ・マリーの2300万ドルをしのいで、すでにBIG4に仲間入りしている。
理想は「ジョコ形」
さらに同じ月、英経済誌スポーツプロも恒例の『世界で最も広告価値のある選手』を発表した。1位がバスケットボールのステファン・カリーで、以下、サッカーのポール・ポグバ、クリケットのヴィラット・コーリと続く。クリケットが意外な気もするが、そこは英国、クリケットは全世界で約1億人の競技人口を有している。
錦織は6位にランクされた。ここでも昨年の17位から大幅な上昇である。同誌のランキングは現在の活躍度やファンの注目度、スポンサーの関心度などを独自に判定、予測したものである。数値の裏付けはない。
ただ錦織の場合は、当を得ているように思う。すでに多くのスポンサー契約をもつが、まだ伸びる可能性は高い。
端緒はプロ転向の翌2008年、日清食品との契約である。この年2月、米デルレイビーチ国際テニス選手権でATPツアー初優勝、同社はスポンサー契約に動いた。当時18歳、若さに期待した同社の先見性だろう。12年には所属契約を結び、ネットの『KEI NISHIKORI SPECIAL SITE』も運営している。
ユニクロやウィルソン、アディダスといったテニス関連商品から時計のタグホイヤー、リクシル、JALなど契約は多岐に及ぶ。さらに、その商品価値を高めるには、やはりテニスでの活躍がポイントとなる。
フォーブス誌が示した収入の内訳をみればわかる。獲得賞金に対し、広告契約料が9倍以上と偏りが著しい。じつはフェデラーも同じで、獲得賞金780万ドル、広告契約料6000万ドル。ATP(男子プロテニス協会)ランキング1位、ジョコビッチの獲得賞金2180万ドル、広告契約料3400万ドルと比較すれば偏りがわかろう。マリーは広告契約料1500万ドルだが、獲得賞金は800万ドル。錦織はフェデラー形だとわかる。
理想はジョコビッチ形であろう。いかに、そこに近づいていくか、錦織の活躍次第ということになる。勝利が増えれば、広告契約も伸びる。そろそろ、大きなタイトルが欲しい。(産経新聞特別記者 佐野慎輔)
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