腸内環境 「奥まで届く」食物繊維で善玉菌増
■帝人、スーパー大麦使用食品を試験販売
帝人が豪州の食品ベンチャーと共同開発したスーパー大麦「バーリーマックス」の商品展開が軌道に乗ってきた。グラノーラやショートバーを試験販売しているほか、都内のカフェレストランでは今月からリゾットやスイーツの提供が始まった。
帝人は、長年培ってきたポリマー解析技術やヘルスケア領域におけるエビデンス評価の知見を活用して、スーパー大麦の構造を分析。腸内環境を改善する細菌の“エサ”となる成分「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」が、消化・吸収されないまま大腸の奥まで届く可能性を示唆した。
スーパー大麦は、豪州の研究機関が開発した非遺伝子組み換えの大麦で、一般の大麦よりも色が黒っぽく、自然な甘みがあるのが特長だ。帝人のヘルス機能性食品プロジェクトリーダーの妹脊(いもせ)和男さんは、この大麦に秘められた大きな可能性に注目した。
その一つが腸内環境の改善効果だ。腸内にある悪玉菌は腐敗により毒素を産出し、これが蓄積すると腸壁に炎症を起こす原因となる。善玉菌を増やしたいのだが、栄養源となる食物繊維は水溶性のため、腸の途中で分解されやすい。とくに大腸の奥の部分は、善玉菌の栄養源が不足しがちで、悪玉菌が優勢な環境となり腸内環境は劣化しやすい。
善玉菌の栄養源となる成分を大腸の奥まで届けるため、小腸や大腸の上部で消化されない栄養源が必要だ。妹脊さんらプロジェクトチームは、スーパー大麦にレジスタントスターチが一般の大麦に比べて約4倍も含まれることに着目した。
レジスタントスターチは、小腸内で消化・吸収されることがないでんぷん。これが大腸の奥まで届けば、善玉菌の栄養源となり、腸内環境のバランスを保つ酪酸が産出される。帝人の研究施設で解析した結果、スーパー大麦の粒内では、レジスタントスターチが水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に包まれた構造であることが判明。「消化・吸収されずに大腸の奥まで届くことが期待されている」(妹脊さん)という。
帝人は7月から、スーパー大麦を使用したグラノーラとショートバーの通信販売を順次開始。今月からは、都内のカフェレストランが、リゾットやサラダ、スープなどのオリジナルセットメニュー(税別1500円)、ガトーショコラ(同500円)などを提供する。妹脊さんは「食品メーカーなどに採用してもらいたい」と話している。
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