LINE、格安スマホ成功の鍵は? 企業乱立で淘汰や差別化激化

 
LINEが販売する格安スマートフォン端末=5日午後、東京都渋谷区

 無料通信アプリを手がけるLINE(ライン)は5日、月額500円からのSIMカードなどを専用サイトで発売し、格安スマートフォン事業に参入したと発表した。LINEや「ツイッター」、「フェイスブック」を使っても毎月のデータ通信量が減らず、使い放題になる料金プランが特徴。LINEは、約57%にとどまっている国内のスマホ普及率の底上げを図り、音楽やゲームなど他事業の収益向上につなげる。

 無料通信アプリLINEの抜群の知名度を武器に、格安スマートフォン業界に乗り込んできたLINEモバイル。同業界には3月末で220社を超える企業が参入し、スマホ契約者全体に占める格安スマホの割合も伸び続けているが、MM総研の調査ではまだわずか約5.7%にとどまる。他の事業者をしのぐ知名度やLINEの各種サービスなどが使い放題になる独自の料金プランで、格安スマホの本格普及に貢献できるか、今後のサービスやプランにも注目が集まる。

 「MVNO(仮想移動体通信事業者)という言葉自体が一般の人にはわからなかったが、認知度が上がっていくのでは」。LINEモバイルの嘉戸彩乃社長はこう述べ、LINEの格安スマホ参入の意義を強調した。

 ただLINEモバイルが「百パーセントの自信がある」(嘉戸社長)というLINEやツイッターなど一部のアプリやサービスが使い放題になるプランは、すでに動画が見放題のジュピターテレコム、人気アプリ「ポケモンGO」が使い放題のプラスワン・マーケティングなども提供している。

 格安スマホ業界は、老舗の日本通信が個人向け格安スマホ事業からの一部撤退を発表したほか、インターネットイニシアティブ(IIJ)は加入者管理機能の自社運営を発表するなど淘汰(とうた)や差別化の動きが激しくなっている。MM総研の横田英明研究部長は「LINEミュージックがフリーになるものなどLINEモバイルは差別化のためには早く新サービスを用意する必要がある」と指摘している。