配車アプリ 中国に見習う利便性
高論卓説■利用者目線での地図情報充実が必要
中国最大手のスマートフォン(スマホ)配車サービスの「滴滴出行」が8月1日、同2位の米国ウーバーテクノロジーズの中国事業を買収すると発表した。これに先立つ7月28日、中国政府は、スマホによる配車アプリを利用した一般ドライバーによるライドシェア(相乗り)サービスに関して、一定の条件を満たせば合法化すると発表している。政府による規制のあり方など多くの問題はあるが、事業のスピード感や新しい仕組みを導入する姿勢など、中国に見習うべき点も多いのではないだろうか。
一連の報道では配車アプリの持つ機能のうち、ライドシェアに焦点が当てられているが、滴滴はもともと2012年に開始したスマホアプリを利用してタクシーを効率的に配車するサービスがはじまりだ。アプリを起動すると、位置情報を取得し、地図上に自分(乗客)のいる場所が表示され、その周りに空車のタクシーが表示される。乗客は、行きたい場所を文字でインプットするか音声で通知すれば、近くにいるタクシーが反応して迎えに来るというものだ。乗客は自分のいる場所を説明する必要がないし、迎えに来るタクシーのナンバーや運転手の名前などの情報もアプリに表示される。地図情報をベースに、乗客とドライバーのニーズをスマホでマッチングさせるのが基本的な仕組みだ。
日本でもスマホによる配車サービス「全国タクシー」が運営されているが、アプリを利用してタクシーを呼んでも、すぐ近くにいる車が来るとはかぎらない。一旦、無線局に情報が流れて、無線で配車されるからだ。電話料金は不要だが、既存の仕組みを利用するため、配車料金410円も別途必要だ。
都内のタクシー業界は利用率を上げるための方策として、初乗り料金を2キロメートルで730円から約1キロメートルで410円に引き下げるための実証試験を行っている。「全国タクシー」を中国の配車アプリのように、ドライバーと乗客が直接やり取りできるようにし、配車料金をなくせば短距離を含めた利用率全体の向上に役立つのではないだろうか。短い距離の場合、乗客の行き先がわかっていれば、ドライバーは迎車に向かうべきかどうか効率的に判断できる。乗客も短い距離の利用を通知してあるから、気兼ねなく利用できるだろう。
また、「ポケモンGO」の大ヒットでより身近になった地図アプリだが、この情報を充実させれば訪日外国人旅行客の配車アプリの利用も期待できる。スマホの表示言語を英語に切り替えるとわかるが、地図アプリにはアルファベット表記の地名なども増えている。ただし、まだまだ首をかしげるものも多いのが実情だ。アルファベットで表示される正確な名称が増えれば、外国人観光客も行き先を検索しやすくなるはずだ。ちなみに「全国タクシー」も「ポケモンGO」同様に「グーグルマップ」を利用している。
2020年の東京五輪・パラリンピックのために、英語を話せるタクシードライバーを増やすより、地図上に正確な外国語表示を増やし、利用者のニーズを満たす配車アプリを開発・導入するほうが効率的ではないだろうか。地図情報のチェックや情報提供は、スマホユーザーが気軽に参加できるボランティア活動の一つにもなるだろう。
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【プロフィル】森山博之
もりやま・ひろゆき 早大卒。旭化成広報室、同社北京事務所長(2007年7月~13年3月)などを経て、14年から遼寧中旭智業有限公司、旭リサーチセンター主幹研究員。58歳。大阪府出身。
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