直接顧客と接し、ドローン提案

ドローンタイムズ
インタビューに答えるエンルートの伊豆智幸社長=8月17日、埼玉県ふじみ野市のエンルート(渡辺照明撮影)

 □エンルート・伊豆智幸社長に聞く

 農薬散布、測量、空撮など産業用ドローン(無人航空機)の専門メーカー、エンルート(本社・埼玉県ふじみ野市)が、活躍の場を拡大している。7月に農業用ドローンの整備、販売を行うことのできる認定を取得し、8月には航空測量の技術を持つ企業と技術提携を発表した。年内には大分県に研究所を開設する予定だ。急拡大の中でも伊豆智幸社長が大事にしていることがある。「エンドユーザーと直接、接する」ことだ。(田中亘)

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 --活躍の場が広がっている

 「課題や改善点の解決に、ドローンや無人機への期待が高まっているためだろう。ドローンで、ケガのリスクを軽減できたり、困難な作業を簡単にできたりする。IT(情報技術)と組み合わせて、より適切な提案ができる」

 --取引先の希望に従って生産するオーダーメード方式か?

 「確かにお客さまごと個別に作るが、いわゆるオーダーメードとは違う。与えられた仕様書通りに作ることはしない。相談者がかなえたい要望や果たしたい目的を聞き、それに応じた適切なソリューション(解決策)を提供することが、われわれのビジネスの本質だ。より速いもの、とか、より長時間飛べるもの、などの要望はよく聞くが、それだけでは意味がない。もともとラジコンの趣味が高じて始めた会社なので70分以上飛べる『Zion(ザイオン)EX』というモデルも持っているが、課題を抱えて相談に来られる方にはドローンがどうであるかは、あまり重要ではない」

 --それがエンドユーザーとの接触を重視している理由?

 「そう。われわれは少なくとも相談者よりはドローンに詳しいわけで、より適切にドローンを活用したソリューションを提案することが大事だ。実際、モノを運ぶのに適したタイプ、測量に適したタイプは異なる。農薬散布に4つのプロペラを持つタイプより、6つのタイプが適しているのは、本体中央にタンクを搭載するため。測量目的もあれば、サルなどの害獣対策もあるだろう。農家の方で、農機具でのケガが不安な方にはUGV(無人車両)の草刈り機を提案できる」

 --芝刈り機のような機種も持っている

 「無人制御技術を活用している。ドローンは空を飛ぶが、広く無人機と言えばそれに限らない。車両のほかにも無人艇(USV)や無人潜水艦(UU)もあり『海洋ドローン』と呼んでいる。陸、海、空をそろえ、相談に応じられる体制だ」

 --提供先の情報があまり出ていない

 「個別に提供していることもあり、多くとNDA(秘密保持契約)を結んでいることが関係している。累計実績は、昨年までは『1000機ぐらい』と言っていた。今はさらに増えている」

 --今後の展望は

 「ドローンはあくまでも端末であり、土台。そこに何を乗せるか、何を運ぶかで価値が決まる。それぞれの仕事に適用できる提案をこれからもする。大分での研究所開設も、もともとは農薬散布の相談を頂いたことがきっかけだ。現地では害獣対策や漁業対策も必要と聞く。今後もユーザーと直接接し、提案の幅を広げたい」

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【プロフィル】伊豆智幸

 いず・ともゆき 1985年 近畿大理工学部電子工学科卒業、横河ヒューレットパッカードに入社。マイクロプロセッサ開発ツール、エンジニアリングワークステーション、E-コマースなどのマーケティング、HP技術のドキュメント化、セールスツールの開発に従事。2006年、エンルートを設立し現職。無人機本体とともに、業務に特化した総合的なソリューションを提供。福岡県出身、55歳

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【会社概要】株式会社エンルート

 ▼本社所在地:埼玉県ふじみ野市

 ▼設立:2006年(平成18年)10月

 ▼事業概要:産業用無人機の設計、製造、販売など

 ▼従業員数:23人