市川商事/マリン企画 愛好家減少に出版不況が追い打ち

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 ▼市川商事 市川商事は8月9日、さいたま地裁熊谷支部より破産開始決定を受けた。

 同社は、設立当初は「元禄茶屋」として日本料理店を経営し、顧客が自らいろりで炭をおこし焼いて食べるスタイルが好評で、うどん、焼き鳥、うなぎなどを提供していた。1985年頃からうどんやみそダレの自社製造を開始し、92年には「元禄うどん」や、「みそダレ」が彩の国優良ブランド品として認定を受けたほか、99年には「みそダレ」の製造方法で特許を取得。さらに、2004年に初めてモンドセレクションで金賞を受賞して以降、14年まで10年連続して同賞を受賞するなどの実績を残していた。

 07年9月期は売上高約1億8000万円を計上していたが、08年に日本料理店を廃業してから売り上げ規模は一気に縮小、09年9月期は6480万円にまで落ち込んだ。その後、テレビやインターネットによる通信販売を開始し売り上げは回復基調を示したが、材料費の高騰などによる収益性の悪化から厳しい事業環境下に陥り、事業の継続が困難となった。

 ▼マリン企画 マリン企画と関連会社のエムピーシーは8月19日、破産手続きを弁護士に一任した。

 同社は業歴40年を超える老舗で、マリンスポーツ関連の雑誌、書籍の専門出版社として定評があった。月刊「サーフィンライフ」をはじめ、季刊雑誌「グライド」「ハイ・ウィンド」などサーフィンやウィンドサーフィンの専門雑誌を出版、このほかファッションやアート関連の出版物も得意としていた。

 ピーク時の1996年4月期は売上高約29億6300万円をあげていたが、その後は編集、制作部門を別法人化したこともあり売上高は大きく減少した。

 さらに近年は、マリンスポーツ人口の減少や出版不況から刊行雑誌、書籍の売り上げ不振に歯止めがかからず赤字も散発、2015年4月期は売上高約2億1500万円に落ち込んでいた。

 エムピーシーはマリン企画の関連会社としてグループの編集、制作部門を担当し、01年4月期は売上高約16億3100万円をあげていた。

 しかし、それ以降は取り扱い雑誌、書籍の販売低迷とともに売上高は減少の一途をたどり、03年4月期は売上高約3億7000万円にまで減少。マリン企画の破綻に連鎖し、今回の措置となった。(東京商工リサーチ)

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【会社概要】市川商事

 ▽本社=埼玉県東松山市

 ▽設立=1976年5月

 ▽資本金=1000万円

 ▽負債総額=約1億3000万円

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【会社概要】マリン企画

 ▽本社=東京都品川区

 ▽設立=1971年10月

 ▽資本金=9900万円

 ▽負債額=約3億円

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 〈チェックポイント〉

 市川商事は、モンドセレクションの連続金賞受賞を掲げ、主に和食材料の開発・製造で知名度を上げた。しかし、賞の多様化とともに同社製品の優越性も低下。ネット販売の模索なども奏功しないなか環境悪化に流されてしまった。食の追求とともに経営の本質も求められる時代に追従できなかった。

 マリン企画は老舗のマリンスポーツ雑誌出版を手掛け、愛好家の間で有名だった。しかし、出版不況や愛好家の減少に伴う減収と、それに伴う採算悪化に対応できなかった。発刊物の刷新や縮小均衡など、早めの対応を進めることができれば、事業の継続など他の選択肢もあったはずだ。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)