マンション販売にVR活用広がる 現地に行かなくても「複数の物件見学できる」

 
沖縄の暮らしをイメージできる大和ハウス工業のVRサービス=東京都港区

 マンションの仲介・販売の現場で、VR(仮想現実)技術を活用する動きが相次いでいる。顧客が現地に行かなくてもマンションの室内にいるかのような疑似体験ができるため、「臨場感がある」「短期間で複数の物件を見学できる」などのメリットがある。マンション市場ではマイナス金利という追い風が吹くものの、消費者の購買意欲が伸び悩んでいるだけに、各社はVRによる販売戦略で需要を喚起したい構えだ。

 大京穴吹不動産(東京都渋谷区)は今月15日から、「ぐるっとネットdeオープンルームVR」のサービスを始めた。スマートフォンを取りつけた箱型の装置「VRゴーグル」を上下左右に動かすことで、まるで実際の部屋の中で見学しているかのような臨場感で物件見学を疑似体験できる。

 同社は、営業拠点70店舗にVRゴーグルとVR撮影用のカメラを導入。営業マン自らがこのカメラで室内やベランダからの眺望などを撮影し、セールスポイントを説明。現在、約880件の物件で新サービスに対応している。このシステムを活用すれば短期間で複数の物件を見学できるほか、売り主・貸主の双方が立ち会わなくて済むため手間が省け、売買しやすくなる。

 また、インバウンド需要を取り込むため台湾や香港の事務所にVRゴーグルを配置し、現地の顧客は日本を訪れなくても契約できるようにした。

 一方、大和ハウス工業が活用するのは、頭に装着したヘッドマウントディスプレーで、映像をあらゆる角度から閲覧できるサービス。分譲マンション「ジ・オーシャンテラス豊崎 シーサイドテラス」(沖縄県豊見城市)の販売用として、東京インフォメーションサロン(東京都港区)に導入された。室内の様子だけでなく、沖縄の暮らしを疑似体験できる。

 ターゲットは、先行販売した「ジ・オーシャンテラス豊崎 サンセットテラス」の契約者の中で多かった50~60代。映像は、夫婦2人が浜辺を散歩したり、子供世帯とバーベキューを楽しんだりするなど、ゆったりとした沖繩生活がイメージできる内容にした。

 また、サンセットテラスは契約者の約5割が首都圏在住者である点を考慮。同社は、同サロンとは別に、東京都内に地方物件専門の販売拠点の開設を予定しており、札幌や京都、福岡などリタイア後に購入して移住する可能性が高いエリアの物件を中心に、このシステムを使った効率的な営業活動を進める。(伊藤俊祐)