おなじみの「ニューアンメルツヨコヨコ」封印 小林製薬、米国市場でいざ勝負
小林製薬が、昭和41年の発売から今年で50周年を迎えた外用消炎鎮痛剤「アンメルツ」を引っさげて米国市場に参入する。米国で同社はカイロや冷却シートを主力商品として展開してきたが、同様に大衆薬を取り扱う米メーカーを買収したことによって、米国での医薬品事業を一気に本格化させる狙いがある。ただし、米国で「アンメルツ」の名称は使わない見込みで、ドラッグストアの店員に「ニューアンメルツヨコヨコ」と告げても、通じないはずだ。(阿部佐知子)
米国で手に入れた「ジムマックス」
9月2日、小林製薬は米国の医薬品メーカーのベルリン社を買収した。買収額は非公表。ベルリン社は、米国内のドラッグストアやスーパーマーケットなどで流通する一般用外用消炎鎮痛剤「ジムズマックス」を販売するパーフェクタ社を傘下に持つ。売上高1240万ドル(約12億6千万円)で化粧品なども扱うが、9割をジムズマックスが占める。
小林製薬は米国に現地法人を置いており、海外での売上高189億円のうち85億円が米国だ。主にカイロを中心に熱さまシートや眼鏡クリーナーなどの日用雑貨を販売している。ただ承認の厳しさから、米国ではこれまで医薬品を販売してこなかった経緯がある。
ジムズマックスは米国では知名度があるブランドだが、それでもシェアは2%程度という。一方で発売50年の小林製薬のアンメルツは、日本国内の液体タイプ外用消炎鎮痛剤市場でのシェアは約25%でトップ。累計販売本数は2億本を超える。
今後はヨコヨコも?
米国で販売する際、商品名は「アンメルツ」としない見通しで、ジムズマックスのブランド力を活用し、アンメルツの開発力を反映させていく。小林製薬の広報担当者は「無臭であることや効力、容器の形状など50年で培ってきた技術がある。米国市場で何が求められているか市場調査をし、売り上げを拡大していきたい」と話す。
たとえば、昭和49年に発売した「アンメルツヨコヨコ」は、孫の手をヒントに容器を曲げ、さらに塗布部分を横向きにして塗りやすくしたことで大ヒット。今年4月に発売した「ネオ」には、容器を従来の11センチから16・5センチにしたロングボトルをラインアップに追加し、肩だけでなく背中にまで塗りやすくした。また、61年には無臭の「ニューアンメルツヨコヨコ」を発売し、特ににおいが気にする女性からも好評だった。こうした独自の工夫が米国で受け入れられるかが鍵となりそうだ。
爆買いの「自信」で海外強化
小林製薬は1969(昭和44)年に海外初進出。現在は米国のほか、英国や中国、台湾、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、オーストラリアに拠点を持つ。
熱さまシートなどの日用品が主要商品だが、タイやマレーシアなどアジアを中心に8カ国・地域では70年代からアンメルツが販売されている。現在、アンメルツの売り上げの半分近くは海外だという。
小林章浩社長は「海外売り上げを拡大する」としており、成長のために海外事業拡大は欠かせないが、医薬品をめぐる規制の違いや販売網の確立など、海外で事業に乗り出すのは決して容易ではない。
一方で、小林製薬は他社と異なる個性的な製品を次々と開発し発売する「商品力」を持つ。近年は、中国のウェブサイトで「神薬」と紹介され、日本にしかない商品として中国からの「爆買い」観光客に支持されている。爆買いで得た自信を糧に、「アンメルツ」で培った技術で米国でも攻勢をかける。
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