自動運転技術、買収や提携相次ぐ 部品メーカー、競争優位へ外部から技術取得

 
先進の自動運転技術が搭載されたメルセデス・ベンツの新型Eクラス。部品メーカーの開発競争は激化している

 国内外の自動車部品メーカーで自動運転技術の開発強化に向け買収や提携が相次いでいる。センサーやカメラ、レーダーなど実用化に不可欠な技術を外部のノウハウで補い、いち早く技術を確立して、受注競争を優位に進める狙いがある。

 デンソーは今月、富士通傘下のカーナビ大手、富士通テン(神戸市)の子会社化に向け富士通と協議することで基本合意した。富士通テン株の保有比率を現在の10%から51%に引き上げる。

 富士通テンは車両間隔や人の存在を把握するミリ波レーダーに強みを持ち、デンソーは技術を取り込んで開発力を強化する。デンソーの加藤良文常務役員は「先端技術があればどことでも組む用意がある」といい、外部機関と幅広い連携を積極的に進める方針だ。

 技術の早期実用化に向け買収や提携をより活発化させているのが欧州メーカーだ。独コンチネンタルは今春、米国のレーザー技術メーカーからセンサー部門を買収した。レーダーやデータ解析に強みを持つコンチはセンサー技術も取り込んで、自動運転の複合システムの提案を目指す戦略だ。

 独ZFは8月、自動運転に不可欠なレーダー技術を手掛けるドイツ企業の株式の4割を取得。英デルファイ・オートモーティブも8月下旬に、自動運転時の「目」の代わりになるカメラに強みを持つイスラエルのモービルアイと提携した。

 国内外の部品メーカーが外部の力を利用しながら対応を強化するのは、自動運転の“要”となる技術をいち早く確立すれば、先行者メリットで顧客の囲い込みを有利に進められるとの思惑があるからだ。

 2035年に世界で2000万台以上の普及が見込まれる自動運転搭載車向けのシステム提案力の強化を目指して、部品メーカーでも買収や提携の動きがますます広がりそうだ。

 自動運転をめぐる部品メーカーの最近の動き

 デンソー レーダーなどに強い富士通テンを今年度内に子会社化

 日立オートモティブシステムズ 茨城大学と周辺認識技術などを共同開発

 英デルファイ・オートモーティブ イスラエルのモービルアイと技術提携

 独コンチネンタル 米アドバンスト・サイエンティフィック・コンセプツからレーザー光センサー部門を買収

 独ZF センサーに強み持つ独イベオ・オートモーティブ・システムズへ4割出資