来春闘、旗振り役不在懸念 自動車総連、業績悪化で環境厳しく
自動車総連の相原康伸会長は29日、2017年春闘に向け基本方針の策定作業に入ったことを明らかにした。従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)を4年連続で要求するかが焦点となる。ただ、自動車各社の業績は急速な円高進行で大幅に悪化。経営側は政府が掲げる「働き方改革」や下請け企業の取引条件の改善に重点を置く姿勢を示しており、例年以上に厳しい交渉となることが予想される。
相原会長は同日の記者会見で、基本方針策定に向け「経済動向などの情勢をよく見極めたい」と述べ、ベアを要求するかどうかについては言及しなかった。賃上げの“旗振り”である自動車業界の労働組合の中央団体トップが、慎重な物言いにとどめたのは、取り巻く環境が16年春闘と様変わりしているからだ。
16年春闘では、円安による業績改善や、安倍晋三首相が率先して経済界に賃上げを働きかける「官製春闘」の定着などで、3年連続のベアを実現した。しかし今年は円高進行で自動車各社の業績が悪化。大手7社の16年4~6月期の連結最終損益は6社が減益または赤字となった。とりわけ春闘相場のリード役となるトヨタ自動車は影響が大きく8月に17年3月期の連結業績予想を下方修正。営業利益を当初見通しから1000億円下げ前期比43.9%減の1兆6000億円とした。
トヨタの労組は、過去最高業績となった16年春闘でベアに相当する賃金改善分として月額3000円を要求。しかし、経営側からは世界経済の先行き懸念などが示され、結果は15年の4000円を大幅に下回る1500円での決着となった。こうした経緯もあるだけに、17年春闘でベアを要求しても、大幅減益の中、より厳しい交渉となるのは必至だ。
懸案は業績悪化にとどまらない。経団連は、安倍政権が取り組む長時間労働是正など「働き方改革」への対応に、賃上げより重きを置く方針を示す。さらに政府は、自動車業界に対して下請け企業との取引条件の改善を求めており、賃上げの原資が商習慣是正に振り向けられる可能性もある。
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