中国の「国慶節」狙い訪日客にアピール 流通・観光業界、消費喚起に利便性強化

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国慶節に向けて中国最大級のSNS「ウィーチャット」の決済サービスを導入した靴量販店のアスビー=東京都渋谷区のアスビー渋谷センター街店(画像は加工してあります)

 10月1日から始まる中国の国慶節(建国記念日)に伴う大型連休を迎え、流通各社や観光業界が、訪日客の消費喚起に知恵を絞っている。直近の円高やリピーター客の増加などで消費行動には変化もみられるが、国慶節は春節(旧正月)休暇や夏休みと並ぶ重要なかき入れ時。各社はサービスや買い物のしやすさをアピールし、訪日客の財布のひもに働きかける。

 決済導入、荷物預かり

 JR渋谷駅ハチ公口から徒歩数分。訪日客で連日にぎわう靴量販店「アスビー渋谷センター街店」(東京都渋谷区)に9月27日、タブレット端末が到着した。中国最大級のSNS(交流サイト)「WeChat(ウィーチャット)」を活用した決済サービスを10月1日から導入する予定だ。

 決済代行を行うアプラスによると、ウィーチャット決済は、スマートフォンに表示したQRコードを店舗側の端末で読み取って決済する仕組みで、中国ではスマホ利用者の約8億人のうち約4億人が利用し、中国人にとってはメジャーな決済手段として普及する。

 同店はアスビー全店の訪日客売上高のうち4割強をたたきだす主力店だが近隣の厳しい競合環境に加え、中国人客の“爆買い”減速で「販売の勢いに陰りが出始めていた」(店長)。ウィーチャット導入で競合店との差別化を図る。

 免税店大手のラオックスは9月から、中国旅行サイトの携程旅行網(シートリップ)と提携。ラオックス新宿本店(東京都新宿区)でシートリップ会員向けに手荷物を預かったり、荷物をホテルなどに届けるサービスを始めた。訪日客を身軽にすることで、ついで買いを促す狙いだ。羅怡文社長は「中国人客のニーズに変化が出てきた」などと背景を説明する。

 「爆食い」見込み集客

 消費の対象がモノから体験へシフトする傾向を踏まえ、爆買いの次は“爆食い”とばかりに飲食店の集客支援を行うのは飲食店情報サイトのぐるなび。中国・台湾人向けサイトで加盟店を紹介するなど訪日前から胃袋をつかむほか、8月には「国慶節に向けて」と題したセミナーを開催、飲食店オーナーらが講師の提案にメモを走らせた。

 一方で、訪日客の売り上げが鈍る百貨店では戦略見直しの動きも出ている。三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、今年度中の開業を予定していた東京都新宿区の大型免税店の開業時期の延期を検討する。

 日本百貨店協会によると、8月の既存店ベースの訪日外国人向け売上高は5カ月連続のマイナス。売れ筋が高額品から化粧品などの消耗品に移行し、一人当たりの購入単価が下がっている。観光庁の田村明比古長官は「中国人観光客の属性が団体客から個人旅行客が多くなっている。交通手段も航空から(クルーズ船などの)海路に流れている」と述べ、需要の取り込みにはこうした変化への対応が必要だと指摘している。