石橋博史システム科学社長の処方箋

ホワイトカラー革命

 ■さまざまな「仕事ぶり」を測る

 業務プロセスを「可視化法」を用いることによって、管理職(部課長)と担当者(正規・非正規社員)のさまざまな仕事ぶりの実態を把握できる。

 実際に10社の管理職578人、担当者2045人、計2623人に、どこの企業にもある「無駄」についてアンケートを実施した。それによると日常業務では「業務の中断」「事務用品」「マニュアル」「ペーパー」「会議」「役割分担」「情報システム」「報・連・相」「伝達手段」「対話」「能力開発」などが管理状態にないと率直な回答があった。

 また、業務内容はルーチンワーク(定常業務)が約70%、非定常業務が約30%。約70%のルーチンワークを基に、幅広い職場内訓練(OJT)を行っている企業では多能職化が進み、良好な対人関係がみられ、社員の納得感も高く、活性化している。

 ◆まず業務の整理から

 経営を変革するには約30%の非定常業務のモラルとレベルを高める必要がある。これは「考える」「判断する」業務で、カン・コツ・ノウハウを含む専門性を発揮して課題を解決する能力の向上策でもある。

 可視化法は「チャートシステム」を使うことによって、業務機能を把握することができる。まず、業務機能の整理から始める。プレーイングマネジャー(一般的には課長だが、最近は部長・次長でもルーチンワーク的作業を持たされるケースが増えている)を含む担当者(正規・非正規社員=派遣、臨時、パート含む)一人一人の分担業務1アウトプット(出力帳票)ごとにチャート化していく。これによって、業務機能を体系化していくことが可能だ。

 可視化法では、業務を1次から4次までの4段階に分割し、4次業務を「単位業務」として業務管理点マニュアル(電子マニュアル)化する。このマニュアル作成時に、単位業務を基に各種の管理点を持って、業務の可視化(目で見てわかる業務の状態を作る)を行う。具体的には、入出力帳票、その処理手順、処理担当者、処理管理点(処理の質=Q)、原価(C)、タイミング(発生時点処理=生産では「納期」の点検点・注意点)、情報の保管場所、業務の目標、単位作業のチャンピオン時間(最速作業時間)、業務ランクを示すA、B、C(A、Bは作業時に判断・思考などが入る非定常作業、Cは判断・思考などが入らないルーチンワーク)を決めていく。

 ◆電子化でコスト削減

 電子マニュアル化により、気付きを誘導して、無駄の排除が加速され、負荷の偏りやスキルの専門性を向上する多能化といった具体的なコスト削減策も促進される。ホワイトカラーの業務はこれらの作業管理点を管理できれば、ほぼ管理状態になっているといえる。

 国が提言している「働き方改革」と「同一労働、同一賃金」は、このマニュアルがあれば、公平に業務の分配・測定・評価ができる。真に力点を置くべきは非定常業務の判断・思考であり、知識・技術・技能といった潜在能力を共有化できるように社員にオープン化し、幅広く活用していくことが競争優位につながる原動力となる。

 次回は「永遠の課題を突破する」である。

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【プロフィル】石橋博史

 いしばし・ひろし 1962年、矢崎総業に入社。86年システム科学を設立し、現職。トヨタ生産方式や生産工学をもとにした業務革新の実践・支援ツール「HIT法」の開発、導入、コンサルティングを手掛ける。2010年2月、「業務プロセスの可視化法とチャート作成システム」で特許を取得。77歳。東京都出身。