“風で織る”オーガニックタオル

eco最前線を聞く
オーガニックタオルがそろう東京・青山の直営店「TOKYOSTORE」。洗濯機と乾燥機を設置し、洗濯後の風合いを確認できる

 □IKEUCHI ORGANIC 代表・池内計司氏

 IKEUCHI ORGANIC(愛媛県今治市)は、欧州連合(EU)基準に基づいて有機(オーガニック)認証されたコットンを使用し、タオルなどの生産工程の全てを風力発電によるグリーンエネルギーで賄う環境配慮型企業として消費者の支持を集めている。家業を引き継ぐため1983年に2代目社長に就任し、今年6月に代表となった池内計司氏は「最大限の安全と最小限の環境負荷」をモットーに、「(53年の)創業から60年かけて乳幼児がなめても安心な製品を創った。次の60年(2073年)までに食べても安全な製品を創る」と意欲を見せる。

 --「風で織るタオル」の愛称で親しまれている

 「地球温暖化という言葉があまり使われていなかった02年から環境負荷を最小限に抑えるため、タオルの製織工場の使用電力を全て風力発電で賄うようにした。グリーンエネルギーの走りの会社といえ、日本自然エネルギーと年25万キロワットを購入する15年契約を結んだ。今年で終了するので契約を継続する」

 --オーガニックにこだわるのは

 「オーガニックタオルは吸水性に加え、耐久性にも優れるので、長く使えて環境にも優しい。またオーガニックの条件として、3年以上化学肥料や農薬を使用していない農園で栽培、遺伝子組み換え種子ではない、またフェアトレード(公正な取引)にもこだわった。創業60周年の13年にオーガニック比率が92%に達し、14年に池内タオルから現社名に変更した。今はオーガニック比率が100%だ」

 ◆ワインのように楽しむ

 --11年3月にワインのように楽しむタオル「コットンヌーボー」を発売した

 「10年4月ごろ、現社長の阿部哲也氏とプロジェクトデザイナーの佐藤利樹氏がプランを持ってきた。しかし『話にならない』とごみ箱に捨てた。コットンは年度によって品質が違うので、タオルの品質も変わってしまうからだ。しかし本当のオーガニックとは自然(ありのまま)であり、その品質が毎年同じであるはずがない。安定しない品質を個性と考え、ボージョレ・ヌーボーのように毎年違いを楽しもうということになった」

 --そのための資金調達も個性的だった

 「ミュージックセキュリティーズのクラウドファンディングを活用、『風で織るタオルファンド』の名称で3回、募集した。普通はプレゼンテーションで投資家を募るが、プレゼンをする前に根強いファンが応募してくれ、すぐに埋まった。3回ともプレゼンをしなかったのは誇りに思う」

 --環境問題への取り組みは

 「二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにするオールカーボンフリーに取り組んでおり、14年から顧客に届くまでカーボンフリーにするため、愛媛県の森林のCO2排出権を買った。今年のコットンヌーボーはミシン糸も刺繍(ししゅう)糸もオーガニックコットンだ。またコットンヌーボーは20年間続ける。まだ誕生してから6年で小学校に入ったばかり。『産湯から成人式まで』コットンヌーボーを楽しんでもらう」

 ◆リピーター率50%

 --顧客は広がっている

 「オーガニックタオルは米ニューヨークで評価されて日本に戻ってきた、いわば帰国子女。今やウェブサイトは100カ国以上からアクセスがある。ただ『環境に優しいから買え』はメーカーの勝手。オーガニックだから買う人もいるが、オーガニックはタオルとしてクオリティーが高いから買う。リピーターが50%を占めるが、成長しながら50%を維持しているのだから顧客の裾野は確実に広がっている」

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【プロフィル】池内計司

 いけうち・けいし 一橋大商学部卒。1971年松下電器産業(現パナソニック)入社。83年池内タオル(現IKEUCHI ORGANIC)に移り社長。2016年6月から現職。67歳。愛媛県今治市出身。