造船不況が直撃! 三菱重工、「祖業」立て直しできるか
三菱重工業が18日、大型客船からの撤退を打ち出した。同社の客船事業はこれまで、雪だるま式に損失を膨らませてきた。撤退で、将来の損失リスクは回避できそうだ。もっとも、造船業界を取り巻く環境は厳しさを増す一方で、生き残りに向け、さらに徹底した構造改革が求められる。(井田通人)
「少しでも世界最高級の技術を残し、何とかやっていけないかという思いだ」
三菱重工の宮永俊一社長は同日の会見で、「祖業」でもある造船事業の存続に向けた思いを強調した。
だが、目標とする「安定的な黒字」への道のりは険しい。
同社はもともと、事業採算の悪化を打開しようと、作るのが難しく、収益性の高い客船に目を向けた経緯がある。大型客船は巨額の損失を生み出してきたが、事業が軌道に乗れば有力な収益源に育つ可能性もあった。旅客と貨物を同時に運べる貨客船など、有望分野は他にもあるが、客船ほどの収益は見込みにくい。
日本の造船会社による受注量は昨年、平成20年のリーマン・ショック後で最高となったが、今年に入ってから中国の景気減速を背景にした海運市況の悪化などで需要が急減。日本造船工業会(造工会)によると、1~8月の受注量は258万総トンと前年同期比81%も減少した。造工会の村山滋会長(川崎重工業会長)は「新造船の発注は、しばらく様子見が続く。ふんばりどころだ」と語る。
業界では生き残りに向けた再編の動きが広がっている。三菱重工が今治造船などとの提携に踏み切ったのも、その一環だ。
一方、三菱重工は造船以外の事業も苦戦が続く。開発中のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)は納期を相次ぎ延期し、3千億円ともいわれる開発費が膨らむ可能性がある。米国では、原子力発電所に納めた蒸気発生器が壊れて廃炉になったとして、約7千億円の巨額賠償を請求されている。会社全体の売上高約4兆円に対し造船事業は1500億円程度。同事業が立て直せても厳しい状況に変わりはない。
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