三菱自再建へ思いほとばしる ゴーン氏の特別寄稿
率直で力強い文章から、トップの覚悟が伝わってきた。日産自動車のカルロス・ゴーン社長が20日、SankeiBiz(サンケイビズ)への特別寄稿で、三菱自動車の経営再建にかける熱い思いを語ってくれた。(柿内公輔)
ゴーン氏は寄稿で、かつて日産がルノーの支援を仰いだ経緯を振り返りつつ、「支援を求めるという勇気ある決断と、(それに伴う)恩恵を忘れたことはない」とし、三菱自への支援について「責任を感じた」と強調した。
ゴーン氏といえば「コストカッター」という異名もある通り、切れ者だがリストラもいとわぬ冷徹な経営者というイメージが一般に広くあるかもしれない。
しかし、かつて日産関係者からこんな話を聞いたことがある。日産の歴史を代表する看板モデル「スカイライン」。ゴーン氏はそのスカイラインを愛し、この名車を生み出した日産なら必ず復活できると社内を鼓舞して回った。その言葉に、一時期自信を失っていた日産社員は奮い立ったという。
筆者は2014年まで産経新聞特派員として赴任した北米で自動車業界を取材したが、何度かゴーン氏の取材機会に恵まれた。印象的だったのが、13年に訪れた業界最大規模の北米自動車モーターショーでのゴーン氏の言葉だ。
「日産は瀕死の状態にあったが、飛躍的な成長を遂げた。だが、すべてをやり遂げてはいない。まだまだ成長する余地がある」。
ふつうの経営者ならば、異国の、それもゴーン氏の言葉を借りるなら「瀕死の」企業を立て直しただけで自らに満足するところだろう。だが、ゴーン氏は違う。目標はどこまでも野心的で、自らがいったんかかわった以上、再建だけで満足しない。支援先のポテンシャルを信じ、社員に自信を植え付け、競争を勝ち抜ける一流企業を目指せと、ハッパをかけるのだ。
もちろん、シビアな経営者の目線をもつゴーン氏には、日産の筆頭株主である仏ルノーの会長として、日産の成長と三菱自の再建がルノーの経営にもプラスになるという計算は働いているだろう。
おそらくゴーン氏の目には今の三菱自にかつての日産の姿がだぶって映るのではないか。ゴーン氏が会長として乗り込む三菱自に対する要求は、高く厳しいものになるだろう。
自動車メーカーきってのカリスマであるゴーン氏は、再編機運が高まる業界をどこに導いていくのだろうか。
サンケイビズでは今後、自動車業界の変化やトレンドに目を凝らし、最新の動向を報じていく。その中で日産と三菱自にも注目していきたい。
【ゴーン社長が特別寄稿】「日産の支援で前進すると確信」 三菱自との関係強化で を読む
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