「働き方改革」でクラウドサービスの出番が拡大 富士通、MS、富士ゼロなどIT各社が提供競う
政府の働き方改革を受け、企業が柔軟で生産性の高い就労環境を模索する中、インターネット上で業務ソフトが使え、場所や時間にとらわれずに仕事ができる「クラウド」を利用したコミュニケーションツールの本格導入が広がっている。富士通や日本マイクロソフト(MS)などIT企業の販売競争も激化。働き方改革が新たなビジネスチャンスを生み出している。
◆1000社超が参加
「長時間働いた人が偉いはやめよう」「男性には2週間の育休より1年間の定時退社を」
テクノロジーで女性の社会進出を支援するという米グーグル日本法人のプロジェクト「Women Will(ウイメンウイル)」のホームページには、一般募集した働き方改革のアイデアが公開されている。
商社やメーカーなど1000社超がプロジェクトに参加。グーグルは調査報告をまとめてアイデアや成果を公開、活動を盛り上げる。同社は「自社製品の営業とは無関係」というが、柔軟な働き方実現の鍵を握るのは、まぎれもなくクラウドを中心としたIT関連製品。グーグルの主戦場だ。
グーグルクラウドアジア太平洋地域代表の阿部伸一さんは「政府の『働き方改革』提唱で企業のクラウド活用の需要は上昇し追い風になっている」という。売上高は非公表ながら「伸びを強く感じている」と話す。
MSのクラウドサービス「オフィス365」は、同社によると「日経平均銘柄(225社)の8割が導入している」。インターネット環境があればパスワード入力で、オンライン会議や社内との情報共有ができるグループウエアだ。
MSは政府が推進する「働き方改革」と連動させてオフィス365の営業を強化している。同社は「日本のテレワーク推進への貢献」を掲げ、「働き方改革週間2016」を10月に実施。オフィス365の無料試用版の3カ月提供や、無償セットアップ支援など企業向け販促活動を展開している。
◆全社16万人で利用
オフィス365の世界的な普及をビジネスチャンスとしてとらえ、働き方改革を新たな成長分野に位置づけたのが富士通だ。世界最大規模となるグループ全社16万人でオフィス365を利用する。その知見を吸い上げて自社のITシステムと組み合わせ、働き方改革に役立つ「グローバルコミュニケーション基盤ビジネス」で18年度に500億円の売り上げを目指す。
社内で在宅勤務やサテライトオフィスの実証実験を始めた日立ソリューションズは、長時間労働是正のための就業管理システム「リシテアJob」の最新版を今月、発売したばかり。実験の成果を反映しつつ、システム開発やサポートビジネスと組み合わせた事業化を目指す。
IT企業のみならず、機械メーカーも手を打っている。富士ゼロックスは、多様な働き方を可能にするサービスを拡充しようと今月、ビジネスクラウドサービスの3社と業務提携した。オフィスにある同社の複合機と提携各社のクラウドサービスを連携させる。経費処理のための領収書や名刺、ビジネス文書などを複合機でスキャンすることで、各社のデータベースや管理システムを利用できるようになるという。
日本は今後、前代未聞の急激な少子高齢化に見舞われる。国立社会保障・人口問題研究所によると、60年までに15~64歳の生産年齢人口は、現在よりも4割以上減少する見込み。経済成長を維持するには労働生産性の向上は不可欠だ。こうした状況を背景に「働き方改革」を推進するIT関連ツールの需要増は確実視されている。ITサービス各社の販売競争は一段と激しさを増しそうだ。(滝川麻衣子)
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