電力各社、顧客奪還へ反転攻勢 ガス自由化、年末以降に料金プラン

 
東電EPとLPガス大手日本瓦斯の提携会見。東電は着々と家庭用ガス販売の準備を進める=5月、東京都千代田区

 2017年4月に始まる都市ガス小売りの全面自由化まであと半年足らずとなった。これまでに東京電力ホールディングス傘下で電力小売り事業を手掛ける東京電力エナジーパートナー(EP)、中部電力、関西電力などが参入を表明しており、今年4月の電力小売りの全面自由化でガス、石油など異業種に奪われた顧客を取り戻そうと、反転攻勢に出る構えだ。

 経済産業省によると、ガス小売り事業の登録が解禁された8月1日から現在までに申請したのはわずか4社のみ。登録を受けたのは東電EPと関電の2社にとどまる。

 事業者からは「ガスの調達コストや保安義務に不安の声が強い」(経産省幹部)ため、新規参入事業者(新電力)が350社超に達した電力小売りの自由化と比較すると動きは鈍い。

 日本総合研究所創発戦略センターの瀧口信一郎シニアスペシャリストも「地方ガス会社と提携する新電力が出てくる方向性はあるかもしれないが、液化天然ガス(LNG)基地を持っている大手電力以外の参入はハードルが高い」と指摘する。

 その中で、いち早く顧客取り込みに動いているのは関電だ。9月に問い合わせ用の専門ダイヤルを設置し、今月からウェブサイトでガス料金を試算できるようにした。初年度で20万件以上の販売を目指し、「大阪ガスより料金を安くしたい」(関電)と力が入る。中部電も5年間で20万件の顧客獲得を目指す。

 電力小売りの全面自由化では、開始後半年で大手電力から新電力などへ約188万件の切り替えがあった。新電力首位の東京ガスは現時点で50万件超、大ガスも約23万件の申し込みがあり、大手電力の牙城を着実に切り崩す。

 電力各社は年末から年明けにかけてガス料金プランやサービスを公表する見通しで、「安価で分かりやすいメニューを提示する」(中部電)。一方、攻め込まれる立場に変わるガス会社も、「年明けに新サービスを準備中」(東ガス)と対抗策を練る。電力、ガスによる顧客争奪戦の“第2幕”に注目が集まりそうだ。(古川有希)