コカ・コーラとキリンの提携、数%ずつ株の持ち合いも 飲料業界、合従連衡が加速
日本コカ・コーラグループとキリンホールディングス(HD)が、清涼飲料事業で資本業務提携に向け協議していることが26日、分かった。数%ずつ株式を持ち合った上で物流や原料調達で連携し、コスト削減につなげる。早ければ年内にも提携契約を結ぶとみられる。清涼飲料首位のコカ・コーラと4位キリンの提携を機に、飲料業界の合従連衡に弾みがつく可能性もある。
両社の提携は製品を小売店や自動販売機へ共同で配送したり、果汁やコーヒー豆などの原料やペットボトルなどの資材を共同で仕入れたりすることが軸になる見通しだ。シェア争いに直結するような販売やマーケティング分野は提携範囲には含まない。
資本提携は、それぞれの中核企業の株式を持ち合う方向で検討する。コカ・コーラグループの製造、販売を手掛けるコカ・コーライーストジャパンとコカ・コーラウエストが来年4月に経営統合して発足する新会社と、キリングループで清涼飲料事業を手掛ける子会社のキリンビバレッジが対象となる。
清涼飲料の国内市場は5兆円規模だが、業界首位のコカ・コーラでもシェアは3割に届かない。
アサヒビールとキリンビールの大手2社でシェア7割を超えるビール業界などと比べメーカーが乱立し、小売りに対する価格交渉力も乏しい。このため値下げ競争に拍車がかかり、「清涼飲料は酒類に比べ利益率が低い」(大手ビール幹部)。
業界では、2011年にサッポロHDがポッカコーポレーションを子会社化し、12年にはアサヒグループHDがカルピスを買収。清涼飲料2位のサントリー食品インターナショナルは昨年、日本たばこ産業(JT)から自動販売機事業を買収するなど再編が進む。
経営効率を高めるため、コカ・コーラは来年4月に東西ボトラーの統合を決めたが、このことが「提携を協議する“呼び水”になった」(キリンHD首脳)といい、他のメーカーも一段の対応を迫られるのは必至の情勢だ。(大柳聡庸)
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