「HAKUTO」月面探査ロボ完成へ拠点一元化 仙台の開発部隊、東京に移動
宇宙開発ベンチャーのispace(アイスペース、東京都港区)は、チーム「HAKUTO(ハクト)」の月面探査ロボット「ローバー」の開発部隊7人を仙台から東京の本社に呼び寄せた。同社はロボットによる世界初の月面探査レースに参戦しているチーム「HAKUTO」を運営している。9月26日~10月1日には月面を想定して、試作車の実証実験を鳥取市の鳥取砂丘で実施。2017年中に予定される打ち上げに向け、月面探査ロボの開発は最終段階にさしかかった。
ローバーの技術は東北大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻の吉田和哉教授の研究成果が基となっていることから、これまで7人の技術者は仙台市の同大学内で開発に従事してきたが拠点を一元化することで、「実機の開発を進めるにあたり、開発の現場と経営との意思疎通を図りやすくする」(同社)のが目的だ。
このほど、開発部隊を東京に移すのに合わせて本社のスペースを拡張。クリーンルームや3Dプリンターを設置した。さらに来客用のオープンスペースも用意し、歴代の試作車の模型などを展示している。
実際に月へ送り込むローバーのフライトモデルは重さ4キロ。車体や脚の材質を従来のアルミニウムから炭素繊維強化プラスチック(CFRP)に切り替え、電子機器を包み込んでいたアルミ製の容器を外し、マグネシウム製のプレートの下に配置するなどの工夫を施し、9月に鳥取砂丘で実験した試作機の7キロから3キロ軽くした。
開発には日本を代表する大手企業が支援の手を差し伸べた。KDDIをはじめ、IHI、Zoff(ゾフ)、日本航空、リクルートテクノロジーズ、スズキ、セメダインなどが資金面のほか通信技術、構造解析、データ解析、接着剤、整備ノウハウや輸送などで支援している。
民生品を数多く取り入れることで開発コストを抑えたものの、開発費は打ち上げも含めて10億円を超える見込みだ。このためチームHAKUTOは11年から進めている開発プロジェクトについて、その過程をインターネットなどを通じて公開。クラウドファンディングなどを活用し、一般の個人からも寄付を募って開発資金を集めている。
HAKUTOは米財団が主催する月面無人探査レースに参加。月面に着陸し、着陸地点から500メートル以上を走行し、指定された高解像度の画像、動画、データを地球に送信する課題を、17年末までに最も早く達成できれば、賞金2000万ドル(約20億円)を獲得できる。
HAKUTO代表でもあるispaceの袴田武史社長は「このプロジェクトを通じて、普通の人間が宇宙を目指せる世界をつくりたい。そして、夢を追いかけることの楽しさ、わくわくといった気持ちを多くの人と共有したい」と話している。
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